厚生労働省、サル痘ウイルス感染予防として天然痘ワクチンの効果を検討
アフリカ大陸の地域的に発生していた感染症のサル痘が、欧米を中心に前例のない規模で感染報告が続き、厚生労働省は、天然痘ワクチンの予防効果を確認しました。
厚生労働省は22日、KMバイオロジクス(熊本市)が製造販売する天然痘ワクチンについて、欧米を中心に広がっている「サル痘」の発症予防策としても適用できるかどうか審議することを決めた。29日の専門部会で議論する。
国立感染症研究所などによると、天然痘ワクチンによるサル痘の発症予防効果は約85%。KMバイオロジクスが国内で生産している。サル痘は発熱や発疹が現れる動物由来のウイルス感染症。世界保健機関(WHO)によると、今年に入ってからの感染者が世界59カ国・地域で6000人を超えている。
国内で感染者は確認されていないが、今後の発生や流行に備え、患者と接する可能性のある医療従事者らに接種できるかどうか検討する。
サル痘ウイルス感染による、急性発疹などを主な症状とするウイルス感染症において、感染症法では、現在4類感染症に指定されており、ウイルスにはいくつかの株・系統が知られており、重症化率や致死率などが異なります。
現状、サル痘ウイルス感染の治療は対症療法のみとされています。予防には、天然痘ワクチンが有効とされており、WHOや主要諸外国ではサル痘への適用が承認されている国もあり、厚生労働省では、今後必要に応じて接触リスクの高い人への天然痘ワクチン接種を検討する方針です。