日経平均株価の下落は岸田総理のせい?テレビ各局に引っ張りだこの池上彰氏、もっと株価下落の原因は複雑なことにお気づきではないのでしょうか。。。
岸田総理が誕生した後、日経平均株価の下落に言及するマスコミが増えました。多くのマスコミは株価下落の原因を岸田総理の誕生に求めています。
テレビ各局から人気がある解説者の池上彰氏も残念ながらその一人です。池上氏は岸田総理が金融所得税に言及したことが原因と考えているようですが、岸田総理が誕生した時点で、そのような短絡的な視点で分析できるような市場ではありませんでした。
株価下落については、多くの専門マスコミがその原因について複数あげています。なんでも得意げに語っていた池上氏にも不得意分野はあったようです。
不得意分野をドヤ顔で語られても、困ります。池上氏には不得意分野は不得意と答える勇気を持ってもらいたいと思います。
池上彰氏、あまりにも短絡的な市場分析。。。
文春オンラインの記事で、池上氏が読者からの質問に答える記事が配信されています。今回池上氏に投げかけられた質問は、岸田総理が誕生してからの株価下落についてです。
池上氏は次のように回答しています。
岸田総理が株の取引にかかる税金の率を引き上げる方針であることを明らかにしたからです。
岸田総理は、「1億円の壁」という言い方をしていました。高額所得者の納める税率が、1億円を超えると下がる傾向にあることを指摘したのです。
中略
金持ちほど税率が低くなる。これでは格差が縮まらない。こう考えて岸田総理は株取引にかかる税率を引き上げる意向であることを明らかにしたのです。これは、株式市場で取引をしている人たちにとっては、ありがたいことではありませんね。そこで岸田総理の方針に嫌気がさして、株価が下がったのです。
引用元 「岸田ショック」はなぜ起きた? 池上さんに聞いてみた。
わかりやすく端的に答えているように見える池上氏の回答ですが、重要な視点が欠落しています。
市場は岸田総理の誕生だけで下落するほど単純な状況ではないのです。
池上氏が触れなかった重要な要因。。。
池上氏は、岸田総理が株価下落の原因として考えているようですが、実際にはアメリカ株が不安定な動きを続けていることや、中国の不動産業界の不透明感も大きく影響しています。そして最大の原因は、エネルギー資源の暴騰でしょう。
株式市場等を専門的に分析しているマスコミからは次のような指摘が出ています。
10月4日は、米国の長期金利(米国10年債利回り)が朝方に一時1.5%台に上昇しました。9月22日にFOMCの結果が発表されて以降、米国10年債利回りは上昇基調となっており、9月28日には一時1.56%と3カ月ぶりの高水準を付ける場面がありました。これが、ハイテク株の売り要因となっています。
中略
10月4日のWTI期近の11月物は、前週末比1.74ドル(2.3%)高の1バレル77.62ドルで取引を終えましたが、一時は78.38ドルと2014年11月以来、約7年ぶりの高値をつけました。主要産油国で構成されるOPECプラスが4日、協調減産を毎月、日量40万バレルずつ縮小する従来方針を11月も維持すると確認したことが、原油先物の買い材料になりました。
また、海上コンテナ輸送が需要に追いつかず、運賃の高騰を招いているだけでなく、必要な商品を期日までに調達できない企業も出ています。引用元 日経平均株価が“岸田首相”誕生直後に急落した要因と今後の見通しを解説!「2万6954円」を下値メドと考えつつ、従来以上に「米国株と中国株の動向」に要注意!
これらの状況を踏まえれば、池上氏が指摘しているような単純な状況ではないことは一目瞭然です。
池上氏は『岸田総理のみ』を原因にあげましたが、その背景は何なのでしょうか。池上氏の記事が配信されたのは25日です。衆議院議員総選挙の投票行動に影響を及ぼそうと考えたわけではないと思いたいですが、池上氏の指摘は明らかに単純すぎです。
最近不得意な分野を『それらしく』語る池上氏をよく見かけます。池上氏には知ったかぶりをやめていただき、『不得意を不得意と言える勇気』を持ってもらいたいと思います。