現場からの声!都庁の要請が現実離れしており、今や医療崩壊状態へ!!

コロナと戦う医療現場はどうなっているのか。独自取材で、都内を含む数多くの医師の声を聴けたので、そのままご紹介しよう。どうか、その訴えを聞いてほしい。

都内病院A医師の証言「都庁の要請は現実離れ」

コロナ対応では都庁の要請が現実離れして、エスカレートしており、大変困っています。

言われるがままに踊っていると、患者さん、医療従事者へうつして、院内感染を引き起こし、むしろ、感染を拡大させて、極めて危険と危惧しています。

正面ルートから意見具申しても、医療機関は所詮、管理すべき業者扱いでまともに相手にされていない感じで無力感が募ります。

具体的には、各施設へ患者さんを分散入院させて各施設で院内感染させるコアをばらまいている事態を引き起こそうとしているように思われます。

このため、各施設では通常の業務ができなくなってきています。

これは医療崩壊ではなく、人為的な医療破壊です。

案としては、集中的に管理できる施設を複数指定して、そこへ輪番で各施設から医師や看護師を派遣すべきだと考えます。

都内病院B医師の証言「東京都の発想は危険であり、これは人為的な医療破壊だ」

都内は感染症指定医療機関の病床が不足しているので、特定機能病院(大学病院)に対応するよう都庁がたびたび要請。

フェーズが上がる毎に、要求する病床数が増え、某大学病院では2フロア空けている。その結果、予定の手術についても良性疾患の方は軒並み先送り。

更に東京都は、陽性の妊婦を各施設で分散して受け入れるよう要請越したが、これはむしろ危険な発想。

都の試算では20,000人の感染者が出て、治療対象者は数百人。妊婦で治療対象となるのは数人から十数人程度と想定されるが、疑い例はこの数倍なので、各施設で管理させると数人から10人程度。

妊婦は高齢者と並んで重症化リスクが高いらしく、ホテルなどは不可ということで入院管理とすると、空けた2フロアの病棟の病床は無症状・軽症の妊婦が塞いでしまい、真に管理が必要な患者さんが入れない。

また、症状のある陽性の妊婦の分娩管理は陰圧手術室等のある施設でないと、他の妊産婦、新生児に危険だが、かかる陰圧手術室等を備えた施設は半数程度。

都の試算・計画通り、充分な装備のない施設へ分散収容して、陰圧ではない普通の病室で管理すれば、動線を分離しきれず各施設で医療従事者を通じて院内感染し、疾病を拡散する要因になる。これは、ウイルスによる医療崩壊(collapse)ではなく人為的な医療破壊(destruction)。

医療関係者の間では、どこかの病院を借り上げてそこへ集中的に収容し、各施設から応援のスタッフを追加して集めて資源投入しないと、各中核病院で院内感染のクラスターを人為的に作成して全滅するような事態に至ると危惧。

個別各論では、都立大塚病院はNICUの看護師が感染してNICUを閉鎖。大塚病院は近々、改築計画があるそうで、その棟をコロナ対応病

棟にして利用し、収束すれば、潰して新築すれば良いのではないか。東邦大学大森医療センターでは最も古い改築予定の1号館へ収容予定と仄聞。新築病棟ばかりの慶應義塾大学病院は苦慮していると聞く。

東京大学病院幹部Cの証言「このままでは東大も野戦病院になる」

東大病院は先日からコロナ疑い患者の受入れ開始(待機的手術など一般診療は縮小)。

今のところ何とかやっているが、このまま感染者が増え続けると東大病院も野戦病院化する可能性はある。

その場合には、報道でも言われているように、一般診療が停止することの弊害が心配。

まず困っていることは、世界的問題だが、個人用防護具(PPE: Personal Protective Equipment)の不足。

N95マスク、フェイスシールド、フェイスシールド付マスクが払底し、再利用を余儀なくされている。

一般診療で使用するサージカルマスクと消毒薬も予備がなくなりつつある。東大病院でもそうなので、一般病院はもっと厳しいはず。

一般病院では、経営的にも、病院側の自発的診療の縮小、患者側の院内感染危惧による受診回避や入院拒否などにより、年度内に潰れるところが出てくるかもしれない。感謝とか頑張ってだけではなく経済的支援も必要ではないか。

老年医学的には、認知症の方が肺炎で入院したらコロナ陽性で、徘徊などで院内感染のリスクが大きくなってしまい、現場が非常に困っているなどの事例も耳にするが、また実態を把握したい。

都内病院D医師の証言「一にもニにもPCR検査をもっと簡単に、もっと早く結果を」

一にも二にも「PCR検査をもっと簡単に、そして早く結果を出すようにしてほしい」ということ。

自分の病院では最重症患者である透析の入院患者を診ているが、万が一にも院内感染を起こさないよう2月から外来も絞り、今週からは閉鎖に踏み切った。

経営的には相当厳しいが致し方ない。

PCRが早くできていれば、と感じた最近の実例を挙げる。

老人ホームから外来で来ている高齢の透析患者が熱発、との旨ホームから連絡があった。

もしコロナだと、透析(病院内の30名がいる狭い部屋で4~5間を要す)中に院内感染となる恐れがあり、そうすると当院の患者はおそらく半分以上が死に至る。従ってこの外来患者の透析はできない。

透析が遅れるとそれ自体も患者の生命に危険が生じるため、他の大病院を当たったが、危ない患者の透析を受けてくれる医療機関は大学病院も含めて見つからず。

PCRをすぐに実施し、陰性なら、多少の熱があっても当院で対応できるので、保健所に検査を早くしてもらうようお願いしたが、相手にされず。

それでも、何とか翌日の夜に結果を出してもらい、陰性だったおかげでギリギリのタイミングで当院にて透析を実施でき、事なきを得た。

陽性なら、おそらく受け入れてくれる施設も見つからず、透析が受けられずお亡くなりになったと思う。

PCR検査結果を当日中に出してさえもらえば、あちこち掛け合う必要もなく、すぐに当院で透析できた。こうしたことも医療機関の疲弊につながる。

もちろん、陽性の場合に透析を受け入れてくれる施設を確保することも課題。

自分は研究者としてPCR検査をさんざんやってきたが、通常、自分が使っていた旧式の機器でもどんなに時間がかかっても6時間以内には結果が出るし、自分は2時間ぐらいで結果を出していた。

韓国の機械を大量に購入すれば済む問題なのではないのかと疑問に感じる。

大阪府下の市民病院幹部Eの証言「帰国者・接触者外来で対応していたときの検査対象基準はもはや無用で、現時点での検査対象基準、つまり感染拡大予防を第一に考えた基準を早急に作って周知すべき」

当院は大阪府下6つの感染症指定病院の一つ。クルーズ船の感染者から受入れ。

現在は20床まで受入れ、来週末からは30床、5月以降は45床を受け入れる。

受入れ病床を確保するには、それまでの稼働病床を閉じる必要があり、近隣の医療機関に、どのように既存患者を引き受けてもらうかが課題。

当院主力の周産期、小児等のどの分野からどの医療機関に任せていくか悩む。

受け皿となる医療機関が必要で、受け皿の機能の仕分け、コントロールを、ある程度強制力をもって、行政にしていただきたい。

いまひとつは、検査対象のクリア化。当院ではコロナ疑いの患者と一般の患者との動線を分けるべく、別棟で発熱外来を立ち上げ、発熱患者の外来診療にあたっているが、今なお、PCR検査をするかどうかの最終的な判断は保健所に依存。

検査は保険適用にはなったが、そのためには、それぞれの保健所(患者の住所ごとに異なる)と委託契約などを結んでおく必要があり、手続きも煩雑。

医師側も、検体採取の際は、防護服を着てリスクを冒して行うので、検査対象とすべき患者を過少に評価する場合もある。

帰国者・接触者外来で対応していたときの検査対象基準はもはや無用で、現時点での検査対象基準、つまり感染拡大予防を第一に考えた基準を早急に作って周知すべき。

特に発熱後、数日でいったん軽快し、その後また数日で発熱して、PCR検査をして陽性患者とわかる例が多々ある。このウイルスの「したたかさ」とも感じられる。

さらに、退院基準や、軽快化基準、重症化基準も考え直す必要がある。軽症、中等症、重症と分けた場合、当院は今後、中等症の患者を主に受け入れることになっている。

中等症の概念は、大阪府独自であり、重症化するか、軽症化するか、経過を慎重に観察しつつ、非常に重要な判断を迫られる。

中等症はいつ重症化してもおかしくなく、その変化も極めて短時間でおこるので、その兆しを察知したら、即座に重症患者にも対応できる施設に転送する必要がある。

逆に、軽症化していく患者はホテル等に移り、病床を空けてもらう必要があり、その判断基準も大切だが手探り状態。

今後症例が蓄積され、経過のパターンがわかってくれば、そういった基準もクリアにできるだろうが、現時点では症例のデータベース作りも、厚労省からは保健所経由での依頼しかなされておらず、病院には(厚労省から)直接指示がきておらず、保健所もそれどころではなく、その依頼すらきていない。

保健所を介さず、厚労省又は専門家研究班と直結するデータ・情報収集のシステム構築が必要。

軽症患者のための退院(帰宅)基準となっているPCR検査も、今後は発症14日後以降に2日間隔で、など検査回数を減らすなど改めていただき、今のフェーズに見合った新たな検査対象基準により感染者スクリーニングに注力できる体制を構築していくことが重要と感じる。

最後に、資材の問題。防護服のガウンがあと1週間分しかなく、職員が手作業で作ろうか、との案もあるほど。行政による医療資材の適切な配分は病院の命綱。

感染症専門の教授Fの証言「政府・省庁の中間管理職に、現場の負担(事務的事項・報告事項等)を増やさないよう指導してほしい。」

一番の問題は、多くの病院に感染症に対応できる医師・医療従事者がいないこと。

そのため、病院の医師・看護師の動線、検体移動から検査・診療等の体制がしっかり組めておらず、医療従事者の安全担保が困難。感染症専門医(たとえば感染症学会員)の多くは細菌感染はわかっていてもウイルス感染をわかっていない。指南役となりうる医師等もていっぱいで手がまわらない状況。地道にFAQを積み重ねていくweb pageを作っていくことぐらいしか思いつかない。

政府・省庁のトップクラスの考えていることは建設的なことが多いが、中間管理職に改善すべき面あり。議員等の問合せへの対応を求められ現場の仕事が増えている。現場の声も正しくあげられているのだろうか。少なくとも中間管理職に、現場の負担(事務的事項・報告事項等)を増やさないよう指導してほしい。

現場からは数々の声があるが、単なる病床確保でなく、治療および管理が可能な病床確保が必要。担当する医療従事者(医師・看護師)も必要で、その安全性確保のための体制・物資(マスク等)も必要。

関連して退院基準及び退院者の管理も重要課題。とりあえずの案で進めているが、正しいかどうか今後も検討する必要がある。この感染症はまだ本当の意味での治癒例(感染後ウイルス排除例)の証明はない。いつまでたっても感染源となりうるリスクもある。したがって退院者の管理も感染拡大抑制に重要。現状では病床確保のため症状軽減者は退院させる方向となるが基準・管理については、本当に難しい。

神戸大学教授Gの証言「無症状の患者でも病院の判断でPCRをできる体制が必要。外出自粛のため献血も大幅に減少。実はこれが、今、手術数を制限」

無症状の陽性者:ホテル等の宿泊施設に移す

軽症患者:軽い症状の患者用のコロナ専用病棟を作る

重症患者:待機手術を延期させ集中治療室を空ける

等の対応でコロナ感染患者への対応は出来つつある。

これからの問題は、

待った無しの手術を必要とする最後の砦の大学病院やがん専門病院。

1)PCR検査

無症状の患者を手術して、あとからコロナ陽性と判明すればその病院は診療停止となり、待った無しの手術を要する重症患者の行き場がなくなる。

一昨日、京都大と府立医大が声明を出したように

無症状の患者でも病院の判断でPCRをできる体制が必要。

2)手術用マスク・ガウン・輸血

コロナ対策に大量に消費され、手術をするためのマスクやガウンが不足。

また外出自粛のため献血も大幅に減少。実はこれが、今、手術数を制限する律速段階となっている。

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