サル痘の発症予防目的で、天然痘ワクチンの適応拡大を了承




今回のサル痘の流行では、様々な時期の皮疹が混在することがあり、厚生労働省は専門家部会で、天然痘ワクチンをサル痘の発症予防にも使えるようにする適応拡大を了承しました。

天然痘ワクチンは、天然痘の予防や症状の軽減を目的とするワクチンです。天然痘ウイルスと同じ属のポックスウイルス科オルソポックスウイルス属ワクシニアウイルスを弱毒化して作成された生ワクチンで、予防接種を適切に実施すれば善感者における有効率はほぼ100%です。曝露後、つまり天然痘ウイルスが体内に入った後の予防接種でも、曝露後4日以内であれば感染予防または症状の軽減が可能であるとされています。

接種した部位には予防接種後3日以内に丘疹(きゅうしん)が現れて、6~7日後に疱疹状(ほうしんじょう)となります。もし、こうした反応が現れずにワクチン接種を受けた人が保健所に連絡した場合、保健所が再接種の必要性を判定して再接種をおこないます。

天然痘ウイルスの予防接種の基本方針は、3種類のレベルに分けられています。平常時はレベル1とされていて、原則としてワクチン接種は実施しません。蓋然性上昇時はレベル2に区分され、医療従事者、消防、警察、空港・港湾関係者などの患者や感染者に対応する可能性が高い初動対処要員を対象に実施されます。また、天然痘が発生した国や地域からの入国者などに対しては、発生状況などを考慮した上で必要に応じて実施されます。国内患者発生時はレベル3とされ、国民に対して接触者の調査を踏まえた上で必要な範囲でワクチン接種が実施されます。加えて、医療関係者などに対しても、二次医療圏や都道府県単位で地域を指定するなど、患者等発生状況を踏まえて、必要な範囲について漏れなく実施されることになっています。

引用元 【サル痘】発症予防目的で「天然痘ワクチン」の適応拡大を了承

天然痘は、伝染力が非常に強く、治癒した場合でも顔面に傷跡が残るため、天然痘ワクチンの接種の普及は、米国で使用されているものと比較し、副反応がより少ないとされています。

厚生労働省は、国内で生産・備蓄している天然痘ワクチンを、サル痘の発症予防目的にも使用できるように正式に承認し、WHOは、ウイルスに感染後4日以内に1回接種することを推奨しており、天然痘ワクチンは、サル痘に対して85%の発症予防効果を発揮されるものとして認識しています。



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