米国の世界保健機関(WHO)脱退に言及 WHO親善大使、武見敬三参院議員「WHOは牽引役がいなくなり、Gゼロ時代に入った」
トランプ米大統領が29日、世界保健機関(WHO)からの脱退を表明した。新型コロナウイルス問題が世界を席巻するなかでオンライン会議の形式で18、19の両日開かれたWHO年次総会(WHA)では、各国がコロナ問題に高い関心を示すなか、米中の対立も改めて浮き彫りになった。WHAが世界に投げかけたものは何だったのか。WHO親善大使を務める武見敬三参院議員は、トランプ氏による脱退表明前のインタビューで「WHOは牽引役がいなくなり、Gゼロ時代に入った」と話していた。(聞き手=朝日新聞編集委員・牧野愛博)
たけみ・けいぞう 1951年生まれ。武見太郎元日本医師会長の三男。東海大教授などを経て参院議員(自民)。保健医療や国際援助などの政策に携わり、外務政務次官、厚労副大臣などを務めた。現在、自民党新型コロナウイルス関連肺炎対策本部顧問も務める。
――今回のWHAの特徴を語ってください。
WHOがGゼロ(主導する国の不在)時代に入ったことを明確に示しじた。
過去のWHOはG7(主要7カ国)や欧米諸国の影響力が強かった。
ところが、米国がWHOへの強い批判を始めたことで、米国のリーダーとしての役割が大きく後退した。欧州各国も、米中対立から一定の距離を置こうとしたことで、明確な強いメッセージを出せずに終わった。
中国は20億ドルの拠出表明や新型コロナとの戦いに各国の協力を呼び掛けるなど、新しいリーダーとしての役割を強調した。だが、拠出の内容が不明確だし、武漢での初動対応の不透明性もあって、中国を信じ切れない国が依然多数を占めている。
どの国もWHOを牽引(けんいん)できなくなった現実を、今回のWHAは明確に示している。 ――WHOの職員らは今回の米中の対応をどう評価しているのですか。
WHO関係者の間で著しく評価を下げたのは米国だろう。新型コロナとの戦いの最中にWHOを批判し、拠出金の引き揚げや脱退まで言及したからだ。
米国は元々、WHOと距離を置き、批判も加えてきた。ただ、それは、西アフリカでエボラ出血熱が広がった際の危機管理対応が遅かったとか、ジュネーブの本部に人材が集中して非効率な官僚主義に陥っているといった、体制や組織のあり方への不満だった。 ところが、今回は政治的中立性への批判にまで広がった。WHO関係者の本音は「米国は、もっと現実に即した批判をしてほしい。中国を不必要に孤立させても、新型コロナ問題の解決への助けにならない」というものだ。
WHO関係者は、中国を激しく非難するトランプ米大統領の対応について「今秋の米大統領選に向け、新型コロナ問題の初期対応のまずさを隠すため、中国とWHOをスケープゴートにしようとしている」と感じている。
――WHOは中国についてはどう考えているのでしょうか。
WHOは武漢で新型コロナの感染が明らかになった際、すぐに調査団を派遣できなかった。職員たちはじくじたる思いを持っていたと思う。
ただ、WHOには関係国に対する強制力がない。中国を納得させて調査に協力させるという方法しかとれない。中国の政治体制の特徴とその自立した影響力を考えれば、批判するだけでは事態は改善しない。不必要に対立せず、相手を説得するしかない。
(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2184482ddd43d02f0dd65c701126373ac5842b9c?page=1
ネットの意見
政治色が強ければ強いほど各国が立場を超えて団結するのは難しくなる。
テドロス氏辞職を含むWHO幹部の刷新がなければ事態の収拾は難しいと思う
新規の機関で終息に臨むのが相応しく思う。
初動においては台湾の警告も無視し中国寄りの発言し感染を世界に拡大させた上、感染予防にマスク不要とか国際機関として全く機能していない。
綸言は汗の如し。一度出た発言は、特に上に立つ者の場合は無かったことにはできない。だから、偉くなればなるほど軽々しく喋ることがないようにしないといけないんだよね。