全国で自粛ムードが高まるイベントの中、春の選抜はどうなるのか?

新型コロナウイルスの感染拡大により、全国でスポーツイベントの中止が相次ぎ、政府が全国の小中高と支援学校に休校を要請した中、注目を集めているのが3月19日に開幕される選抜高校野球の行方だ。主催の日本高校野球連盟は開催の道を模索し、28日にはチケットの販売もスタート。ただ、甲子園には全国から観客が押し寄せる上、休校中の高校生が部活動を行うことの是非も問われている。高野連は3月4日の運営委員会で、対応を話し合う見込みだ。果たして開催は可能なのか。

「春の甲子園」として親しまれる選抜は、今回で92回目。戦局が悪化した昭和17~21年をのぞいて毎年続いており、阪神大震災(平成7年)や東日本大震災(23年)の直後にも、甲子園球場には球児の姿があった。

高野連は今回も予定通り開催する方針で準備を進めてきたが、27日に全国の高校も休校要請の対象となったことで事態は一変した。すでに他競技では、政府の要請に先立ち、ボクシングや空手などで年度末の高校生の全国大会を中止することを決めている。

感染症の流行期にスポーツイベントを開催することの危険性はすでに指摘されていた。「大人数が集まって応援し、肩を組んだり歌ったりすることもある。感染拡大のリスクは高いと言わざるを得ない」。近畿大の吉田耕一郎教授(感染症学)は話す。

選抜では出場校の生徒や保護者、地元住民らが数百人規模でアルプススタンドを埋める。終了後の最寄り駅や交通機関でも密集状態が発生し、流行が終息していなかった場合、感染が広がる危険性は高い。

また、サッカーJリーグでは3月15日までの全公式戦を延期することを決めているが、高校野球は学校での授業を優先する必要があり、新年度に開催することは難しい。甲子園球場では大会閉幕1週間後の4月7日には、プロ野球の公式戦も予定されている。

さらに28日の衆院予算委員会で、萩生田光一文部科学相は選抜について、「全国から多くの方が集まるものであり、いわゆる全国的なイベントに当てはまる」と指摘。その上で「政府の要請の趣旨に照らし、どのような対応が考えられるか主催者に確認を行っているところ」と説明した。

これ以上の感染拡大を抑えるにはやむえない判断だと思うが、こういった状況が続いては、東京オリンピックの開催すら危ういという話が現実味が出てきてしまう。

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