【毎日新聞】「政府案では忖度発生」野党が定年延長で修正案「検事総長3年」削除求める
立憲民主党などの野党は11日、検事総長や検事長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案を含む国家公務員法改正案に関し、「政権による恣意(しい)的な検察人事が可能になる」として、修正案を出す方針を決めた。全検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる規定は残すが、検事総長の定年を特例的に68歳まで3年間延長できるようになる部分などの削除を求める内容。12日の衆院内閣委員会の理事懇談会で示す。
政府の改正案は、検察官の定年を一律65歳に引き上げる。そのうえで国家公務員法で3年以内の定年延長を1年ずつ認める規定を検察庁法にあてはめ、「内閣が定める事由があると認めるとき」は、検事総長や一般の検事の定年を段階的に68歳まで延長できる。施行は2022年4月とする。
検察トップの検事総長が1年ごとに内閣の判断で「1年を超えない」期間の定年延長が認められることになる。これに関し、国民民主党の玉木雄一郎代表は11日、「時の内閣の裁量で(定年を)延ばしたり延ばさなかったりが許されれば、延長できる検察官とできない検察官が生まれる。忖度(そんたく)が発生して検察の中立性、独立性が大きく毀損(きそん)される」と記者団に語った。
与野党は11日に国会内で国対委員長会談を開き、野党側が検察官への特例的な3年間の定年延長部分の削除を要求したが、与党は応じなかった。立憲の安住淳国対委員長は記者団の取材に対し「(与党が採決を強行した場合は)徹底的に戦う。採決をさせない。『3密』と批判されるかもしれないが、物理的抵抗はしたい」と明言した。
一方、安倍晋三首相は11日の衆参の予算委員会で「検察官も一般職の国家公務員」だとして、国家公務員法の定年延長規定が検察官にも適用されるとした今年1月の解釈変更の正当性を強調。「改正案の目的は、高齢期の職員の豊富な知識、経験を最大限に活用する点などにある。恣意的な人事が行われるとの懸念は全くあたらない」と繰り返し答弁した。与党は13日の内閣委で採決し、14日の衆院本会議でも可決して参院に送付し、会期内の法案成立を図る。
森雅子法相も3月23日の参院予算委員会で「一般の検事と検事総長は理論的には68歳まで(定年延長が)可能だ」と認めている。質問した社民党の福島瑞穂党首は「内閣が言えば1年おきに定年延長できる。自分の職業生活の最後がどうなるか、天国か地獄かが内閣に委ねられる」と問題点を指摘していた。
野党は、政府が今年1月に黒川弘務東京高検検事長(63)の定年延長を閣議決定した問題と重ね、この裁量を法制化するものだとして問題視していた。
ネットの意見
できれば両方の側からの解説を聞いていろいろ判断したほうがいい