安倍総理会見 緊急事態宣言、31日まで延長正式表明




【安倍総理冒頭発言】

緊急事態宣言を発出してから間もなく1か月となります。最低でも7割、極力8割、人との接触を削減する。この目標の下、可能な限り御自宅で過ごしていただくなど、国民の皆様には大変な御協力を頂きました。その結果、一時は1日当たり700名近くまで増加をした全国の感染者数は、足下では200名程度、3分の1まで減少しました。これは、私たちが終息に向けた道を着実に前進していることを意味します。また、一人の感染者がどれぐらいの数の人にうつすかを示す実効再生産数の値も、直近の値も1を下回っています。
緊急事態を宣言した4月上旬、1か月後の未来について、欧米のような感染爆発が起こるのではないか。そうした悲観的な予想もありました。しかし、国民の皆さんの行動は、私たちの未来を確実に変えつつあります。我が国では、緊急事態を宣言しても、欧米のような罰則を伴う強制的な外出規制などはできません。それでも、感染の拡大を回避し、減少へと転じさせることができました。これは、国民の皆様お一人お一人が強い意思を持って、可能な限りの努力を重ねてくださった、その成果であります。協力してくださった全ての国民の皆様に心から感謝申し上げます。
その一方で、こうした努力をもうしばらくの間、続けていかなければならないことを皆さんに率直にお伝えしなければなりません。現時点ではまだ感染者の減少が十分なレベルとは言えない。全国で1万人近い方々がいまだ入院などにより療養中です。この1か月で人工呼吸器による治療を受ける方は3倍に増えました。こうした重症患者は回復までに長い期間を要することも踏まえれば、医療現場の皆さんが過酷な状況に置かれている現実に変わりはありません。これまでに500名を超える方々が感染症によりお亡くなりになられました。心から御冥福をお祈り申し上げます。
一人でも多くの命を救うためには、医療資源を更に重症者治療に集中していく必要があります。1日当たりの新規感染者をもっと減らさなければなりません。このところ、全国で毎日100人を超える方々が退院など、快復しておられますが、その水準を下回るレベルまで、更に新規感染者を減らしていく必要があります。
そのために、感染者が多く、特に警戒が必要な13都道府県の皆さんには、引き続き極力8割の接触回避のための御協力をお願いします。東京都では、5月になってからも平均で1日100人を超える感染者が確認されています。これまでの努力を無駄にしないためにも、ここで緩むことのないようにお願いをいたします。
そして、各地への感染拡大を防ぐためにも、地方への人の流れが生まれるようなことは避けなければなりません。そのための対策も講じることができるよう、今後とも全国を対象として、延長させていただくことといたしました。その上で、入院患者の皆さんは、2、3週間が平均的な在院期間とされています。新たな感染者数を低い水準に抑えながら、これまでに感染した患者の皆さんの退院などを進めていく。そうすることで、医療現場のひっ迫した状況を改善するためには、1か月程度の期間が必要であると判断いたしました。
こうした考え方について、本日は尾身会長を始め、諮問委員会の専門家の皆さんの賛同を得て、今月いっぱい、今月末まで緊急事態宣言を延長することを決定いたしました。ただし、今から10日後の5月14日を目途に、専門家の皆さんにその時点での状況を改めて評価いただきたいと考えています。その際、地域ごとの感染者数の動向、医療提供体制のひっ迫状況などを詳細に分析いただいて、可能であると判断すれば、期間満了を待つことなく、緊急事態を解除する考えであります。
当初予定していた1か月で緊急事態宣言を終えることができなかったことについては、国民の皆様におわび申し上げたいと思います。
感染症の影響が長引く中で、我が国の雇用の7割を支える中小・小規模事業者の皆さんが、現在、休業などによって売上げがゼロになるような、これまでになく厳しい経営環境に置かれている。その苦しみは痛いほど分かっています。こうした中で、緊急事態を更に1か月続ける判断をしなければならなかったことは、断腸の思いです。
明日の支払にも大変な御苦労をしておられる皆さんに、一日も早く、使い道が全く自由な現金をお届けしなければならないと考えています。5月1日から最大200万円の持続化給付金の受付を始めましたが、最も早い方で8日(注)から入金を開始します。公庫や商工中金だけでなく、身近な地方銀行や信金や信組でも、3,000万円まで、実質無利子・無担保、元本返済も最大5年据置きの融資が受けられます。納税や社会保険料の支払も猶予いたします。これらの支援策を御活用いただくことで、この緊急事態を何とかしのいでいただきたい。事業と雇用を何としても守り抜くとの決意の下で、政府の総力を挙げ、スピード感を持って支援をお手元にお届けしてまいります。加えて、飲食店などの皆さんの家賃負担の軽減、雇用調整助成金の更なる拡充、厳しい状況にあるアルバイト学生への支援についても、与党における検討を踏まえ、速やかに追加的な対策を講じていきます。
その上で、事業者の皆さんが何よりも望んでおられるのは、事業の本格的な再開だと思います。そのために、この1か月で現在の流行を終息させなければならない。5月は、終息のための1か月であり、そして、次なるステップに向けた準備期間であります。どうか御理解と御協力をお願い申し上げます。
感染の拡大防止は、私たちの命を守るための大前提です。有効な治療法やワクチンが確立されるまで、感染防止の取組に終わりはありません。その意味で、私たちはある程度の長期戦を覚悟する必要があります。しかし、経済社会活動を厳しく制限する今のような状態を続けていけば、私たちの暮らし、それ自体が立ち行かなくなります。命を守るためにこそ、私たちはコロナの時代の新たな日常を一日も早くつくり上げなければなりません。ウイルスの存在を前提としながらのいつもの仕事、毎日の暮らし、緊急事態のその先にある出口に向かって、皆さんと共に一歩一歩前進していきたいと考えています。その観点から、本日、日常生活において留意すべき基本的なポイントを専門家の皆様からお示しいただきました。密閉、密集、密接、3つの密を生活のあらゆる場面でできる限り避けていく。このウイルスの特徴を踏まえ、正しく恐れながら、日常の生活を取り戻していく。専門家の皆さんが策定した新しい生活様式は、その指針となるものです。
子供たちには、長期にわたって学校が休みとなり、友達とも会えない。外で十分に遊べない。いろいろと辛抱してもらっています。心から感謝いたします。また、お父さんやお母さんや御家族の皆様には、大変な御負担をおかけしています。先週、文部科学省から、分散登校など、新たな指針をお示ししました。段階的であっても、子供たちの学校生活を取り戻していく。学校においても、新たな日常をつくる取組を進めます。
経済活動においても、新たな日常をつくり上げます。様々な商店やレストランの営業、文化施設、比較的小規模なイベントの開催などは、新しい生活様式を参考に、人と人との距離を取るなど、感染防止策を十分に講じていただいた上で、実施していただきたいと考えています。今後2週間をめどに、業態ごとに専門家の皆さんにも御協力を頂きながら、事業活動を本格化していただくための、より詳細な感染予防策のガイドラインを策定してまいります。ただし、3つの密が濃厚な形で重なる夜の繁華街における接待を伴う飲食店、ライブハウスなど、これまで集団感染が確認された場所へ出かけることは、引き続き自粛をお願いすることとなると考えます。
他方で、外出それ自体が悪いわけではありません。人との距離を十分に保ち、マスクを着用する。そうした予防対策を講じながら外出できる。そうした日常を、専門家の皆さんのアドバイスの下に取り戻してまいります。
もう一度申し上げますと、外出それ自体は全く悪いわけではないということであります。3つの密を避けることを大前提に、新たな日常を国民の皆さんと共につくり上げていく。5月はその出口に向かって真っすぐに進んでいく1か月です。同時に、次なる流行のおそれにもしっかり備えていきます。その守りを固めるための1か月でもあります。
各地で、医師会の皆さんの協力も得てPCRセンターを整備するなど、検査体制を更に拡充していきます。地域の感染対策の砦(とりで)である保健所の皆さんの負担軽減、体制強化にも更に取り組みます。感染が判明した方々には、宿泊施設での療養や医療機関への入院など、病状に応じた適切な対応がスムーズに行われるよう、自治体ごとの体制構築を支援していきます。ガウンや高性能マスクなどの医療防護具についても、国内での増産や輸入を一層強化します。そして、最前線の医療現場に国が直接届ける取組をもっと充実していきます。介護施設などの感染予防も一層強化しなければなりません。さらには有効な治療薬、有効な治療法の確立に向かって、この1か月、一気に加速していきます。
日米で共同治験を進めていたレムデシビルについて、米国で使用が承認されました。そして本日、我が国においても特例承認を求める申請がありました。速やかに承認手続を進めます。我が国で開発されたアビガンについても、既に3,000例近い投与が行われ、臨床試験が着実に進んでいます。こうしたデータも踏まえながら、有効性が確認されれば、医師の処方の下、使えるよう薬事承認をしていきたい。今月中の承認を目指したいと考えています。あらゆる手を尽くして、次なる流行に万全の備えを固めていく。そのための1か月にしなければならないと考えています。
感染のおそれを感じながら、様々な行動制約の下での生活は緊張を強いられるものです。目に見えないウイルスに強い恐怖を感じる。これは私も皆さんと同じです。しかし、そうした不安な気持ちが、他の人への差別や、誰かを排斥しようとする行動につながることを強く恐れます。それは、ウイルスよりももっと大きな悪影響を私たちの社会に与えかねません。誰にでも感染リスクはあります。ですから、感染者やその家族に偏見を持つのではなく、どうか支え合いの気持ちを持っていただきたいと思います。
各地の病院で集団感染が発生している状況を大変憂慮しています。しかし、医師、看護師、看護助手、そして病院スタッフの皆さんは、そのような感染リスクと背中合わせの厳しい環境の下で、強い使命感を持って、今この瞬間も頑張ってくださっています。全ては私たちの命を救うためであります。医療従事者やその家族の皆さんへの差別など、決してあってはならない。共に心からの敬意を表したいと思います。
緊急事態の下でも、スーパーや薬局で働いている皆さん、物流を支えている皆さん、介護施設や保育所の職員の方々など、社会や生活を様々な場所で支えてくださっている皆さん、そうした皆さんがいて、私たちの暮らしが成り立っています。改めて、心から感謝申し上げます。私たちの暮らしを支えてくださっている皆さんへの敬意や感謝、他の人たちへの支え合いの気持ち、そうした思いやりの気持ち、人と人との絆(きずな)の力があれば、目に見えないウイルスへの恐怖や不安な気持ちに必ずや打ち勝つことができる。私はそう信じています。
今年は、大型連休中も不要不急の外出を避け、自宅での時間を過ごしてくださっている皆さんに、改めて、衷心より御礼を申し上げます。友人同士でのオンラインでの交流など、インターネットやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使って人と人との絆を深め、楽しもうという、自宅での時間を楽しもうという方々がいらっしゃることに大変勇気づけられます。前向きな皆さんの存在が緊急事態を乗り越える大きな力となっています。
例年、ゴールデンウィークには実家に帰省するなど、家族で旅行していた皆さんも多いと思いますが、今年はオンライン帰省などのお願いをしております。そうすることで皆さんの、そして愛する家族の命を守ることができます。御協力に感謝いたします。いつかきっと、また家族でどこかに出かける。そのときのために、今はどうか、おうちで家族との時間、家族との会話を大切にしていただきたいと思います。
先日、国立感染症研究所が発表したゲノム分析によれば、我が国は徹底的なクラスター対策によって、中国経由の第一波の流行について押さえ込むことができたと推測されます。そして、700名を超える集団感染が発生したダイヤモンド・プリンセス号からのウイルスも、様々な対策の結果、国内では終息したと分析しています。そして、今また欧米経由の第二波についても感染者の増加はピークアウトし、終息への道を進んでいます。皆さんに大変な御協力を頂きました。大変つらい思いもしていただいていることと思います。しかし、私たちのこれまでの努力、取組は間違いなく確実に成果を上げています。みんなで前を向いて頑張れば、きっと現在のこの困難も乗り越えることができる。国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
ありがとうございました。私からは以上です。

(内閣広報官)
はい。それでは、これから皆様方からの質問を頂きますが、質問には安倍総理と尾身会長に御対応いただきたいと思っておりますので、総理、そして尾身会長におかれましては所定の位置に御移動願います。質問の内容によりましては尾身会長から御説明を頂くこともございます。御了解を頂戴したいと思います。
質問を御希望される方、その意思表示は、前回、前々回のやり方に従いまして、発声ではなく挙手でお願いしたいと思います。私が指名をいたしますので、指名を受けた方は近くのスタンドマイクまでお進みいただきまして、所属とお名前を改めて明らかにされた上でお願いしたいと思います。
それでは、初めに幹事社からの御質問とさせていただきます。どうぞ。

(記者)
幹事社のフジテレビ、鹿嶋(かしま)です。
宣言の延長と今後の対策についてお聞きします。まず、先ほども言及がありましたけれども、今回、宣言を延長し、国民が自粛継続など、更なる負担を強いられることについて、率直に政治の責任についてどのようにお考えになりますでしょうか。また、宣言の延長に伴って、今後、失業者が大幅に増える懸念があると思います。二次補正の検討も今されていると思いますが、雇用調整助成金の上限をどの程度、引き上げるのかといった既存の対策の拡充に加えて、例えば東日本大震災で活用された雇用保険の特例措置など、こういったものを行って、より雇われる側の立場に立った対策を検討するお考えはありますでしょうか。また、10万円の現金給付について、追加で行う考えはありますでしょうか。お願いします。

(安倍総理)
まず、当初予定をしておりました緊急事態宣言について、1か月で終息する、終えるということを目指しておりましたが、残念ながら1か月延長するに至ったこと、内閣総理大臣として責任を痛感しております。それを実現できなかったことについて改めて、おわびを申し上げたいと思います。
その上で、この5月は、現在の流行を終息させること。そして、次なる流行に備える、その1か月であると、その備えを万全に固めていくための1か月であると考えています。私自身、その目標に向かって、目的に向かって先頭に立って努力をしていく考えであります。
そして、今回の延長によって、既に大変厳しい状況にある事業者の方々には、更なる御苦労を強いることになります。まずは先般成立をした補正予算を直ちに執行に移して、総力を挙げて速やかに支援をお手元にお届けをしたいと思います。先ほど冒頭発言において、私が持続化給付金について、最速で5月8日に入金すると申し上げるところを8月というふうに申し上げましたが、これは5月の8日が最速で入金でございますので、訂正させていただきたいと思います。(注)
そして、その上で、今、お話のあった雇用保険制度や雇用調整助成金の更なる拡充に加えまして、また、飲食店や様々な小規模事業者の皆さんも含めて、賃料負担の軽減や、あるいはまたアルバイト学生への支援などについても、与党における検討を踏まえまして、速やかに追加的な対策を講じていきます。
また、10万円の給付については、既に800を超える自治体からオンラインでの申請受付を開始いたしました。自治体と協力をして、一日も早く、この現金をお手元にお届けしたいと思っています。そして、その先につきましては、事態の推移等、状況等を十分に見極めながら判断をしたいと思います。

(内閣広報官)
それでは、幹事社、もう一問。どうぞ。

(記者)
産経新聞の小川と申します。
今回の緊急事態宣言の法的裏づけである特措法について伺います。私権制限の懸念から、内閣総理大臣に指揮権を持たせていない一方で、都道府県知事による法的権限がより強い要請や指示を可能としていることから、政府と知事の権限の曖昧さなど、法的な不備が指摘されています。感染者数の動向など、今後の状況次第では罰則強化を含め、法改正など、法律を見直す考えはありますでしょうか。
また、先ほど総理もおっしゃいましたが、出口に向かって真っすぐに進むこの5月の1か月を乗り切るためにも、政府の対応はもとより、各地域の事情に精通する地方自治体の対応も非常に重要になってくると思います。緊急事態宣言の解除に向けて、地方自治体に期待する役割だったりとか、知事のリーダーシップについてどう考えるか、お聞かせください。

(安倍総理)
特措法については、国は基本的対処方針を決めます。それに基づきまして、都道府県がその地域の感染状況等を踏まえて判断を行うという仕組みであります。これまで国民の皆様の御理解を頂きながら、都道府県と緊密に連携をしながら取り組んできましたが、結果、確実に成果が出ていると、こう考えています。
また、国の権限強化等についてでありますが、今、言わば強制力を伴わない中におきましても、例えば夜の繁華街等についても営業しているのは1割以下の地域が多いわけでありまして、大変な御協力を頂いている。本当に感謝申し上げたいと、こう思っています。
国の権限強化や、更なる私権制限を行うための立法措置については、今の感染状況でそれがどうしても必要な事態が生じる場合については、当然検討されるべきものと考えていますが、今は緊急事態のさなかでありまして、引き続き国民の皆様の御協力を頂きながら、都道府県としっかりと協力をしながら進めていきたいと思っています。
いずれにいたしましても、先ほど申し上げました、もう一回、専門家の皆様に再評価をしていただく、この緊急事態宣言を全国で延長いたしましたが、専門家の皆様に再評価をしていただくわけでありますが、その間も都道府県において、これは相当大きな、今、差も出てきています。ずっと新規感染者がゼロの都道府県も、県も多いわけでありまして、そういう地域によっては当然、その地域でどのように対処していくかということも、これは各地域で決めていただくこともあるわけでありまして、そういう意味におきましては、それぞれの正に地方の首長の皆さんに的確な御判断もいただきたいというふうに思います。

(内閣広報官)
それでは、これから幹事社以外の皆様からの御質問を頂きます。
御希望される方、改めてですけれども、発声ではなくて、挙手でお願いいたします。私が指名いたしますので、近くのマイクの前にお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにした上で質問をお願いいたします。
質問はお一人様、1問でお願いいたします。
では、菅原(すがはら)さん。

(記者)
日本テレビの菅原です。よろしくお願いいたします。
今回の感染者数の減少についてなのですけれども、残念ながら十分に期待されたレベルには達さなかったということだと思うのですけれども、この要因について、例えば休業に対する補償や支援によって十分な安心を与えられなかったとか、いろいろなことが考えられると思うのですけれども、政府としてこの要因をどのように分析していらっしゃるのかということと、それをこの先の1か月にどのように生かしていこうというふうにお考えでしょうか。

(安倍総理)
緊急事態宣言を発出してから、この1か月間、最低でも7割、極力8割、人との接触を減少していただきたいというお願いをさせていただきました。本当に多くの方々が御自宅で過ごしていただいていると思います。新規感染者数の減少はまだ十分なレベルとは言えないわけでありますが、例えば先ほど申し上げましたように、夜の街につきましても、全国で多くの、いわゆる夜の街においては、大体1割を下回るところもあります。営業しているところがですね。人の流れはほとんどもうなくなっているわけでありますが。また、例えば駅の改札などの通過数を見ますと、実はこれは8割から9割減っているのです。つまり、8割をそういうところでは大きく上回っている。夜の街でも、言わば8割を上回っているという大変な御協力を頂いています。
そもそも罰則がない中でそこまでいただいている、協力を頂いていることに感謝を申し上げたいと思いますが、ただ、医療現場の過酷な状況の中において、更なる努力が必要である。1日の新規感染者を退院、回復される方、100人の水準以下に抑える必要があると、そのように判断をしたということであります。
しかし、その中でも、先ほど申し上げましたように、そういう成果が出てきておりますので、この13都道府県におきましても、8割の接触回避のお願いをいたしますが、博物館や美術館や図書館などの使用制限を緩和したいというふうに考えているところであります。
補償等につきましては、先ほど申し上げました持続化給付金について一日も早くお手元にお届けをしたいと、こう思っています。これは、国際社会で見ても遜色のない支援レベルだと思っています。

(内閣広報官)
それでは、その次の方。
では、松本さん。

(記者)
NHKの松本と申します。よろしくお願いします。
PCR検査についてお伺いします。政府の方は、能力拡充を図ってきているとしていますけれども、なかなか実施件数自体は伸びてこないという現状があります。こうした中、果たして感染の全体像がつかめているのかどうかとか、あるいは把握できない感染が広がっているという国民の不安もあるかと思います。
この検査の運用は、医師が必要と判断した人が受けられるようにするといったことになっていますけれども、こうした運用の見直しを図りまして、また、より検査が受けられやすいようにしていくという、その改善点についてどのようにお考えかお伺いしたいと思います。

(安倍総理)
PCR検査の数と実際の感染者数との関係においては、尾身先生からお話を頂きたいと思いますが、では、このPCRの検査の数が諸外国と比べて日本は少ないのではないかという御指摘もあります。また、私もずっと、医師が判断すればPCR検査を受けられるようにすると申し上げてきましたし、その能力を上げる努力をしてきました。
ただ、8,000、1万、1万5,000と上げても、実際に行われているのは、7,000、8,000レベルでありまして、どこに目詰まりがあるのかということは、私も何度もそういう状況について、どこに目詰まりがあるのかということは申し上げてきているわけでありますが、本日の専門家会議の分析、提言では、東京などを中心とした大都市部を中心に検査待ちが多く報告をされまして、検査件数がなかなか増加しなかった要因として、各自治体における保健所の業務過多や、検体採取の体制などが挙げられています。
現在は、こうした状況を踏まえまして、地域の医師会にも御協力を頂きながら、全国で20か所、主にやはり東京でそういうことが起こっておりますので、東京で12か所のPCRセンターが設置されまして、PCR検査体制の強化が図られてまいりました。東京などの大都市圏を中心に対策を徹底していきたいと思っています。

(内閣広報官)
では、尾身会長、お願いいたします。

(安倍総理)
実態の件数とPCRとの関係。

(尾身会長)
今の、よく一般の方で、PCR検査が日本で比較的少ないので、感染の実態を十分つかんでいないのではないかということですが、実は、今日、私ども専門家会議がこれから記者会見をしますが、そのときに詳しく申し上げようと思っていますけれども、歴史的に見て、確かに日本はPCRのキャパシティーを上げるということが他の国に比べて遅れた。それは様々な理由があります。
元々、衛生研究所とか国立衛生研究所は、感染法の中で、行政の検査をやるということで、1つがありますね。それから、日本の場合には幸いなことにSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)がなかったために、少しやはりPCR体制というものを組むということが、そういう経過があって、なかったと思います。
しかし、そういう中で、実は当初はPCR検査を、重症化を防ぐために限られたキャパシティーを集中せざるを得ないという、これは事実でございました。しかし、だんだんと感染者が増えて、死亡者も増えるという中で、2月の20日頃から、大学とか他の医療機関に試薬を送るとか、検査をする。それから、3月6日にはPCRの保険適用が、そういうことが様々にありましたけれども、実は、なかなかうまく思ったほどのスピードで上がらなかったのは事実で、その理由はいろいろありまして、大体6つぐらいありますが、保健所の業務の過多とか、それから入院先をしっかり示す仕組みがない、それからPCR検査を行う地方衛生研究所のリソースが極めて少ない。人員のカットなどもありますし、そういうことがあった。それから、検体採取及び実施体制のマスクや防護服、それから一般医療機関は都道府県との契約をしないとこういう検査ができないという今までの仕組みがあった。それから、検体を取ったら運ぶということに、これに様々な障害がありました。そういうことでありまして、なかなか他の国よりは確かに少なかった。
しかし、それと同時に、死亡者という、重症化で、本当に肺炎で亡くなったような人については、もちろん最近、報道で、残念なことに路上で亡くなって、後でPCRで分かったという人がおりますけれども、基本的には、日本の医療体制というのは、肺炎を起こしたような、日本の場合には肺炎のサーベイランスをやってきましたから、肺炎を起こすような人はほとんどがCT検査とかをやられて、その多くはPCR検査をやられてきて、そういう意味では、死亡者のようなものは大体正しい件数がピックアップされていると思います。
それで実は、今日の専門家会議でも、我々、その中に書いてあって、また今日の記者会見で申し上げますけれども、実は、他の国に比べたら件数が足りない、少ないことは確かですけれども、今の状況を見ますと、徐々にではありますけれども、検体数は増えているのです。その中で、PCRの陽性率というのは下がっています。そういうポジティブなところがありますが、しかし、実際にまだまだ、私自身あるいは専門家委員会としては、PCRのキャパシティーを、必要な人に、もう少し私はできるようにスピードアップする必要があると思います。
そのためには、幾つか、これも6つぐらい課題があると思いますけれども、保健所の強化、それから都道府県調整本部の活性化、それから地域の外来、これは医師会なんかがやってきて、いろいろセンターをつくっていますけれども、これがまた始まったばかりです。これをもっとしっかりやる。それから感染防護具とか、そういうキットの、これが調達がまだ足りません。それから検査をするといってもそう簡単ではない。トレーニングも必要です。それから実は、特に都道府県においてはPCRの実態の把握と、それから問題点が、何をするということは、これは前から基本的対処方針でお願いしています。これは知事のリーダーシップで、一体のこういうことが、更に私はしっかりと必要な人にPCR検査が受けられる体制を示すためのチャレンジであると思います。
そんなようなことでよろしいでしょうか。

(内閣広報官)
それでは、次の質問に。
どうぞ。

(記者)
中国新聞社の下久保です。よろしくお願いします。
総理は、先日の憲法記念日のビデオメッセージで、現在のコロナの拡大を受けて、これに対して緊急事態条項の新設に意欲を示されました。現在の状況、コロナの感染終息が見通せない中で、この状況下で、改憲議論、コロナの問題を申し上げるのはどうなのかという意見もあります。この点について、総理のお考えを聞かせてください。

(安倍総理)
既に自民党は4項目のイメージについて提案をさせていただき、その中で緊急事態宣言があるわけであります。今の事態だから申し上げているのではなくて、ずっと申し上げているということです。

(内閣広報官)
それでは、次、吉野さん。

(記者)
テレビ朝日の吉野です。
学校の一斉休校についてお伺いいたします。5月いっぱいで3か月です。6月以降の確証がまだ得られない中で、目前の課題として、義務教育の遅れですとか、それに伴う格差についてどうお考えでしょうか。オンライン教育ですとか9月の入学というのは一つの解かもしれませんけれども、総理の具体的な見解をお伺いしたいです。

(安倍総理)
安倍政権は発足以来、第1次政権もそうですが、教育に力を入れてまいりました。その中で、こうした緊急事態において、学びの場が奪われてしまっている、子供たちがみんなで一緒に勉強したり遊んだり、共に時間を過ごす貴重な時間が失われてしまっていること、本当に残念であります。
そして、その中で、子供たちの学びに著しい遅れが生じることがあってはなりませんし、また、地域によって大きな格差が生まれることがあってはならないと思います。そうしたことのないように、今、全力で取り組んでいるところでありますが、これまで政府としては、子供たちが家庭学習を行えるように、オンラインの教材や動画等の提供を行っています。また、一人一人の端末、1人1台のIT端末の実現に向けまして、当初の4年を1年間で実現、実施できるように予算を確保します。もちろん予算を確保したからといってすぐできるということではなくて、これは正に地方自治体の皆さんにも相当頑張っていただかなければならないということになりますが、その予算も確保しました。
そうした様々な対策をしているところでありますけれども、先週、感染予防に最大限配慮した上で分散登校を受け入れるなどの段階的な学校再開に向けた工夫も提示をしております。子供たちの学習機会の確保に向けて、地方自体や学校現場と一体となって全力を尽くしていきたいと思います。様々な、我々も、アイデアを取り入れていきたいと思っています。

(内閣広報官)
それでは、後列の奥から2人目の男性の方、所属とお名前を明らかにして、お願いします。どうぞ。

(記者)
こんにちは。フリーランスの大川興業総裁の大川豊です。よろしくお願いいたします。
まず、私は、知的障害者の施設の現場を全国歩いておりまして、どうしても家の中に閉じ込めておけないとか、やはり外に出るのが大好きだとか、あと、買物が好きだとか、どうしても同行者がいないと活動できないという現実がありまして、例えば知的障害であったり、発達障害の子供たちに対しての行動指針、それを政府としてお示しになるか。それをちょっとお伺いしたいと思います。

(安倍総理)
尾身先生からよろしいですか。

(記者)
是非、やはり買物しているときも2人で一緒に移動しているので、政府からもお答えを頂ければと。

(安倍総理)
分かりました。
まずは、都道府県によって大分事情が違いますから、都道府県によっては、正に最初に申し上げましたように、まず外出するということについては全く悪いわけではないということであります。先ほど申し上げたとおりでありまして、地域によってはというか、まずは例えば公園とかは、これは3密を避けていただければ問題はないということでありますけれども、あと、詳しい専門的な分析については、尾身会長からお答えをさせていただきたいと思います。

(記者)
できましたら開いているスポーツ施設とか、今、閉鎖されているのですけれども、そういったところ。

(内閣広報官)
まずはお答えを聞いていただきたいと思いますので。

(尾身会長)
今の施設のこともそうですけれども、各場所によって状況が違いますよね。それを今、全ての場面について言うことができないので、実は、これから特に長丁場と言われているこの時期に、皆さん自身が自分を、我々自分を守り、他の人にも感染をうつさないというには、基本的な原則というのをみんなが理解することがあって、実際のいろいろな場面はその原則の応用というか、それをみんなで工夫するということで、先ほども、各事業者についてもまたガイドラインをつくっていただきたいということですけれども、では、3つの基本的な原則といいますか、基本は何かというと、これは1つ目はよく言われる、今、一番大事なのはフィジカルディスタンス。今、ソーシャルディスタンス、社会的隔離と言っていますけれども、我々は少し社会的隔離と言うと何か分断しているようなので、フィジカルディスタンスを取るということが極めて重要です。ワクチンがない今のこの状況で感染症対策に最も大事なのは、感染しているかもしれない人とそうでない人の、これはもうずっと古典的にそうなのです。これが一つ、フィジカルディスタンス。
それから2つ目は、実は、マスクについてはいろいろな見解がありますけれども、最近になって、これは我々も学びつつ動いていますので、マスクについても比較的、当初は余り効果的ではないということですけれども、最近になると、この感染症の難しさがはっきり分かってきたのは、一番症状が出る、出ますよね。感染して症状が出る2日ぐらい前と、感染をして直後、この数日ぐらいが最もウイルスの排出量が多いのですね。したがって、まだ症状が出ていないうちに人に感染させるということがはっきり、前から、もう当初から我々はそういうことがあるのではないかと思っていましたけれども、かなりはっきりしてきた。
そうすると、症状がないわけです。せきとか何かがないのにほかの人にうつってしまうという可能性があるので、ここでマスクが。実際にマスクの使用というのはそこが極めて重要です。したがって、距離が遠い場合はいいですけれども、実際に対面するときも、会話するときも、なるべく正面に向かないで。時々は、だけど、会話するときは正面を向いてやらざるを得なくなりますよね、日常では。そういうときにはマスクをしていただきたいということが第二の原則です。
それから第三の原則は、これはもう極めて有効なのは手洗いと。この3つのことをじっくり守って、あとは現場のいろいろな状況にそれを応用する、工夫していただくというのがいいのではないかと思います。

(内閣広報官)
ありがとうございました。
それでは、次に参ります。
では、今井さん。

(記者)
読売新聞の今井です。
治療薬のアビガンについてお伺いします。先ほど総理、月内にも承認したいとの意向をお話しになられましたけれども、これはかなりスピード感のある手続になると思うのですが、どのような枠組みでこうした早期承認を目指していくのか。あわせて、アビガンは効果が期待される反面、催奇形性といったものも指摘されておりますけれども、その辺の問題点についてどのようにお考えでしょうか。

(安倍総理)
アビガンについては、既にインフルエンザの治療薬として日本で承認をされているものであり、同時に、副作用についても明らかになっている。今、おっしゃったように催奇形性という副作用がありますから、妊娠をされている方、妊婦の方は、これはサリドマイドと同じような副作用でありますから、これは処方できないということになりますし、そういう注意をして処方する必要があるわけであります。一方、このアビガンについて処方した、先ほど3,000例の投与の例があるというふうに申し上げましたが、その結果、効果があるという、そういう報告も受けています。
その中で、どういう方法で今、投与をしているかといえば、まずは、これはある程度の成果があったということでございますので、観察研究という形と、あと臨床研究という形で投与を行っています。これはコンパショネート・ユースという形で、言わばそれが患者さんにとっては大変重要だという、そういう形で使っているということになります。
ただ、これはもちろん患者の方が希望をして、そして各病院の倫理委員会が承認をしたら使えるということでありまして、ですから我々はある程度の効果がございましたので、なるべく多くの方が、患者の方が希望すれば使えるようにしてもらいたいということは厚労省にも申し上げているわけでございますが、これはあと各病院がそれぞれ決めることであります。
と同時に、これは新型コロナウイルスにおいてはまだ承認をされていません。新型インフルエンザにおいては承認をされているわけでありますが、ここで承認をするために企業治験を終えなければならないということでありまして、ただ、企業治験が進んでいるのでありますが、なかなかこの企業治験、治験に参加しようという患者さんがいて初めてこの企業治験が増えていくのでありますが、企業治験を希望される患者の方々、例えばプラシーボを飲む可能性があるということも含めて了解をしていただかなければならないわけであります。そうしたことで、なかなか症例は進んでいないのでありますが、一方、臨床研究によって症例が重なってきまして、この重なってきたことによって、ある程度が重なれば専門家の皆様が判断して、効果があるかどうかという、その分析・解析が出ます。それに対して企業が申請をしたら、それに対して承認をするかどうかということになるわけでありまして、一般の企業治験とは違う形の承認の道もあるわけでありまして、恐らくそちらの方になるのではないかとも言われておりますが、私もまだ確たることは言えないのではありますが、ここで冒頭申し上げましたように、効果があるという成果が出れば、この月内の承認を目指していきたいと、こう思っております。70万人分、既に備蓄がございますし、それを更に200万人分まで生産を進めていただくように、既にこれはお願いをしているところであります。

(内閣広報官)
次の日程との関係で最後になるかもしれません。
では、神保さん。

(記者)
ありがとうございます。ビデオニュースの神保です。
総理、先ほどのPCR検査の話にちょっと追加なのですけれども、先ほど総理は御自分もどこに目詰まりがあるのかをいろいろ聞いてみたというお話がありました。日本はOECD(経済協力開発機構)の加盟国の中で1,000人当たりのPCR検査がメキシコに次いで低いというような数字も出ていて、日本は非常にPCR検査が少ないということは国際的にも分かってしまっていると。そこで、PCR検査は感染状況を知る上でも、あるいは自分が感染していることを知らないで人にうつしてしまうケースがあるという意味でも非常に重要だと思うので伺うのですが、ということは、総理、日本は内閣総理大臣がPCR検査が今、少ないので増やせということを指示をしても、今の日本は実力的にPCR検査を増やすことができないのだということを総理はおっしゃっているのでしょうか。それとも、そこまで、まだ、これまでは本気で増やすことをしてこなかった。
例えばPCR検査のことを国会で聞かれても、まだ1万件も行っていないのに、今、1万5,000あるのをキャパシティーを2万に増やすというようなお答えをされる。でも、まだ1万件行ったこともない。つまり、どこか他人事のようなお答えをされるけれども、それは、それほどまだ本気で増やそうとこれまでしていなかったということなのか、それとも、実際に本気で増やそうとしたのに本当に増えなかったのか。そして、先ほど尾身先生がおっしゃったように、もしキャパシティーに問題があるとおっしゃるのであれば、なぜ民間を使うという選択肢が出てこないのか。その辺のところを、今後これが増えるかどうかということも含めて、その辺のところをできれば詳しくお話しください。よろしくお願いします。

(安倍総理)
既にこれは先ほどお答えしたことが全てなのですが、これはもちろん本気でやる気がなかったというわけでは全くありません。私は何回も、とにかく能力を上げていくと。実際、能力は上がってきているわけであります。国としてできることは、予算をつけて能力を上げるということでありまして、1万5,000。
しかし、1万5,000、能力を上げたら、では1万5,000人分行くかといったら残念ながらそうなっていないのでありますが、多く見て、多くは東京に集中をしているわけであります。ですから、先ほど申し上げましたように、PCRセンターを20か所増やす中、東京に集中的に12か所増やしました。医師会にも御協力を頂く。言わばそういう体制をつくっても、なぜかと言えば、これはまず、それをPCRをやる方を迎えなければいけなかったわけでありますが、それをやる、言わば人的な目詰まりもあったわけでありまして、医師会の皆さんにも御協力を頂き、また、歯科医師会の皆さんにも御協力を頂くことになったわけでありまして、そういう意味において、全力を挙げていきたいと思っています。
補足的にもまた尾身先生に御説明を頂きたいと思います。

(記者)
民間のほうもお願いします。

(安倍総理)
民間との関係について。

(尾身会長)
実は、もう民間の方は、先ほども申し上げましたように、3月6日から保険の適用が始まって、少しずつ増えております。今、いろいろ統計を我々は始めて、いわゆる感染研とか地方研でやられていることは分かっています。それと、民間の検査会社でやっているのも分かっていますが、実はこれはなかなか複雑でして、病院でやったものを、今、医師会なんかの御協力で保健所を通さないで行くというシステムができたのは皆さん御存じですけれども、入院されている患者さんは退院するまでに数回やることがありますよね。退院のために2回。そうすると、そのことが全部報告されてきてしまうと、分母、やっている件数が増えますよね。だから、我々、今、非常にジレンマで、今、大変難しいと思って、何とか解決しようと思っているのは、一つの報告、分母は感染研とか公的機関だけのものと、それから民間を入れると今度は増え過ぎてしまって、そこはオーバーになっているということが今、現実ですけれども、しかし、確かにトータルとしては、今日の専門家会議の方で見せましたけれども、検査件数が全く上がっています。
それと、先ほど、そういう中でも実は日本の死亡率は、これは一番の我々の目標、全ての感染を知っているわけ、これはなかなか難しいですね。分かりませんが、死亡率という意味で、今のあれでも死亡のことはピックアップして、その死亡の数は、これはヨーロッパのほうに比べても10分の1以下ということですから、必ずしもPCR、私自身はPCRはもう少し、総理がこの前2万件と。そのぐらいまでは行ったほうがいい。それに今、努力をしています。ただ、それと同時に、私は専門家として、一応事実としては、PCRは日本は最も少ない国の一つですけれども、人口当たりの死亡率、それから絶対数もヨーロッパの国の10分の1以下であるということは、これは事実です。しかし、だからといって、今のPCR体制がこのままでいいというように申し上げているのでは。
もう一つは実は、PCRというのは、もう皆さんも御承知のように、やるのはそう簡単ではなくて、今、我々が、先ほど治療薬の話が出ましたけれども、私自身は治療薬の研究に直接は関わっていませんが、この5月あるいは6月で臨床治験の結果が出る。
それともう一つ、今のPCR関係で非常に重要なのは迅速診断キットです。抗原。これが、まだ最終的な結果はありませんけれども、これは簡単です。唾液を取ってできますから、実は、これは日本がインフルエンザでずっとやってきた、あれなのです。それで、私はこのPCRはこれからも、PCRとこれは補完的な関係ですから、この迅速診断キットというのが私はかなり期待をしています。もちろん早計に簡単なことは言えませんけれども、今、私たちの入っているところでは、比較的、特にウイルスの排出の多い、これが一番感染をしやすいケースですよね。この人たちを探知するのは十分。もちろんPCRの方が感度はいいですよ。だけれども、感染の症状の始まる前、2日ぐらいが一番多いんですね。
このレベルのウイルスだと引っかける可能性があるということで、私自身はPCRはもちろん、これから様々な困難がありますけれども、努力して、2万件のところまでとりあえず行く。と同時に、迅速診断キットができると、かなり今の状況は変わるということがあるので、この2つを見ながら、また死亡率を、死亡率はだんだん今、死亡者は上がっていますから、死亡者をこのまま他の国に比べて少ないという維持をするためには様々な努力が必要だと思います。

(安倍総理)
要は、今、言われたのは、1万5,000とか2万上げても、その数、実際に実行しているのは少ないじゃないか。私も確かにそのとおりだという認識を持っていますので、大切なことは、何回も申し上げているのですが、お医者様が必要だと思われる方がPCR検査を受けられるようにする。まだキャパシティーの差がありますよね。
ただ、この差があるのですが、一番の先ほど申し上げました東京とか大都市において、これは地域によって、よく見ていく必要があると思います。そのキャパシティーに余裕があるということの中において、どうしてそこを、もしそこでお医者さんが、実際に必要であるのにできなかったということについては、そういう対処をしっかりとやっていきたいという中において、先ほど申し上げましたPCRセンターを今度、東京で12、全国で20設けていくということになりますので、これはもっと進んでいく。また、簡易キット等の導入も、尾身先生の方からもお話がありましたので、進んでいくと思います。
また、感染状況の全体像を把握することにおいては、PCR検査だけでは、これは全体像は困難でございますので、抗体検査を用いた疫学調査についても、有意義な方法であると考えておりますが、その中で現在、抗体検査キットの性能評価等を行っておりますが、そうした結果も踏まえまして、今後速やかに疫学調査の実施に移っていきたいと思います。
ただ、多くの国民の皆様に誤解を頂きたくないのは、大切なのは実際に重症になっている方の数、重症者に対して対応できているかということと死亡者の数なのだろうと思いますが、亡くなっている方については、欧米に比べてはるかに日本は少ないのですが、他の肺炎で亡くなっている方に実は、コロナで亡くなっている方が多く混じっているのではないかという疑問に対しては、日本はCTの検査を大体肺炎で亡くなる方については最終的には行っていて、新型コロナウイルス感染症が疑われるかどうかということについては、これも大変、お医者様にとっては直ちに判断がつくという、間質性肺炎であればその判断がすぐつくということでございますので、そういうことはないということではないかと思っています。

(内閣広報官)
次の日程は外交日程でございまして、差し迫っておりますので、以上をもちまして総理の会見を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。
今日は外交日程でございますので、それは分かりますけれども、もうあと、本当に余り、時間が次、ないものですから、御理解いただきたいと思います。
どうもありがとうございました。

(注)冒頭発言では「8月」と発言しましたが、正しくは「8日」です。質疑応答において訂正を行いました。




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