万博の全面キャッシュレス化のハードルは関西の「現金主義」
2025年大阪・関西万博に向け、日本のキャッシュレス化が一気に進もうとしている。万博会場での支払いは、原則として現金ではなく電子マネーアプリなどによるデータの送受信によって行うことが決まっています。
大阪・関西万博が開幕。関西国際空港に到着した訪日外国人客(インバウンド)の一行は鉄道の関西空港駅に向かった。目的地は万博が開かれている人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)。一行は、自身のクレジットカードを改札機にかざして電車に乗り込む。その後、万博会場での食事や土産の購入、宿泊先のホテルのチェックインまで全て同じカードで行った。日本滞在中、財布から現金を取り出すことは一切なかった-。
インバウンドだけでなく、日本人が自宅から万博会場を訪問するときも同じようにカード1枚でこと足りる。サービス提供者にそれぞれの思惑はあるが、これが万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)や交通機関、クレジットカードを取り扱う金融機関などが描く〝全面キャッシュレス〟社会だ。
「日本のキャッシュレス推進を加速させるため、万博会場内でキャッシュレス決済を本格導入し、現金の取り扱いは行わない」。万博協会の畠山一成企画局長はこう強調する。
万博協会は導入のメリットについて、来場者には支払いの簡素化やレジでの時間短縮、非接触によるウイルス対策を挙げ、運営側には防犯対策や現金管理時間とコストの削減が見込めるとしている。
国家的イベントの万博を機にキャッシュレス推進を図るのは、海外と比べて日本のキャッシュレス決済の普及が遅れているためです。
経済産業省によると、20年の各国のキャッシュレス比率は、韓国の93・6%、中国の83・0%(いずれも参考値)などに対し、日本は32・5%にとどまります。
日本では、17年の21・3%から22年は36・0%と約1・5倍に伸びているが世界水準には届いていません。