政府の財政政策で注目される新しい資本主義実現のための重点投資




政府の財政政策で注目とされるのは、補正予算編成を伴う物価高対応の大規模経済対策、来年度予算に向けた防衛費の大幅増額、新しい資本主義実現のための重点投資とされます。

「ペイアズユーゴー(Pay-As-You-Go)原則」など米国の財政健全化措置を参考に
米国では、1980年代のレーガン政権時に、軍事費拡大や積極減税策によって財政は大幅に悪化し、財政赤字と貿易赤字とが共存する「双子の赤字」の問題が、長期金利の上昇、ドル安、株価下落など金融市場を揺るがした。このように米国では、金融市場が警報を発する形で、財政健全化の重要性を国民が強く認識したのである。このことが、レーガン政権に続くブッシュ政権のもとで、財政健全化が迅速に進んだ背景にある。他方日本では、金融市場がそのような反応を示さないため、市場の力で財政を健全化させる自浄作用は働きにくい。

ブッシュ政権以降に米国でとられた財政健全化策は、日本でも参考にすべきではないか。ブッシュ政権時には「1990 年包括財政調整法」が成立し、「ペイアズユーゴー(Pay-As-You-Go)原則」と「キャップ制」が導入された。その後、1993 年1月に発足したクリントン政権でも、ブッシュ政権による財政再建の枠組みは踏襲された。また米国では1917年から、債務上限が法律で定められており、これも財政悪化に歯止めをかける仕組みである。

「ペイアズユーゴー原則」とは、新規の施策や制度変更を通じて義務的経費の増加や減税を行う場合には、同一年度内に他の義務的経費の削減や増税などの措置を行わなければならないとする制度である。十分な相殺措置がなされていないと判断される場合には、歳出が一定の割合で一律に削減がなされることになる。

「キャップ(Cap)制」 は、裁量的経費に上限を設ける仕組みであり、根拠法は「2011 年予算管理法」である。当該年度の歳出予算法における裁量的経費の総額が法定上限を超えた場合には、歳出の一律削減がなされることになる。

引用元 日本でも財政健全化のためペイアズユーゴーの導入検討を

国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、依然として厳しい状況である中、本経済対策を契機として、ウィズコロナの下で、一日も早く通常に近い社会経済活動の再開を図る方針です。

新しい資本主義を起動し、成長と分配の好循環を実現して、経済を自律的な成長軌道に乗せるための成長に向けた機運を途切れさせないためにも、感染拡大の可能性に備えて、危機管理に万全を期すとともに、感染の再拡大や供給制約などによる景気下振れリスクに十分に注意し経済の底割れを防ぐ必要があります。



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