政権の最重要課題とされる賃上げ、最低時給が1000円台に
岸田総理が目指す、令和5年度の最低時給の目安の全国平均1千円の大台を達成しました。
「賃上げは岸田政権にとって最重要課題の一つ。環境整備に向けて政府として一丸となって取り組みを続けていきたい」
首相は28日、最低賃金を巡る議論が、全国平均時給を1002円とする目安を示すことで労使が折り合ったことを受けこう強調した。賃上げは首相の看板政策「新しい資本主義」の柱で、大幅な引き上げは首相の意向が反映された形だ。持続のため後押しする政策を進める姿勢を示した。
最低賃金引き上げを巡っては、中小企業を中心に人件費の増加に伴う経営悪化への懸念が根強い。ただ、長期的な物価高を踏まえ、令和5年春闘は30年ぶりの高水準の賃上げを実現。今回の最低賃金の議論は「1千円からどこまで上乗せできるか」(厚生労働省幹部)が焦点だったが、労働者の生計費を重視した。
最低賃金の大幅な引き上げは、少子化対策にもある程度は貢献しそうだ。内閣府の「少子化社会に関する国際意識調査」(2年度実施)では、独身の理由について、日本は「経済的に余裕がないから」が29・8%に上り、フランス(9・3%)やドイツ(13・8%)に比べて経済的要因が大きな比重を占めた。男女間の賃金格差是正や非正規労働者の賃上げが進み、若者の経済的な不安が和らげば、結婚や出産を後押しすることになる。
高齢化が進み、年金や医療費が膨らむ一方、人口減で納税者は減り、国民負担は増えている。首相が掲げる「構造的な賃上げ」は日本経済の最優先課題だ。低迷する内閣支持率を上向かせ、求心力を維持するカギにもなる。
岸田総理は、中小企業でも賃上げが行われるよう、価格転嫁対策などを徹底し、環境整備に向けて一丸となって取り組む方針です。
最低賃金の引き上げによって、低賃金の労働者の収入が増加し、生活水準が向上するため、物価高が家計を圧迫する中、過去最大となる大幅な引き上げは、経済的困窮を理由に結婚や出産をためらう若い世代の収入を押し上げることに繋がることが考えられます。