社民党・福島瑞穂党首。持続化給付金を巡り「20億円は中抜き」「トンネル会社じゃないか」と国会で猛批判。しかし、「中抜き」でも「トンネル」でもありません
あまりに一部のメディアと野党の発言が酷いので、今日は今話題の持続化給付金問題について、自分なりに調べ理解したことを皆さんにお伝えしたいと思います。
感染症拡大による、営業自粛等で特に大きな影響を受けている、中堅・中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくために、事業全般に広く使える給付を給付するための対策が「持続化給付金」です。
政府は、持続化給付金を円滑に進めるために、769億円の事業費として、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」と契約しました。これは、政府が振り込みを全部できるほど人員がいないので民間に委託するというものです。
この契約については、769億円に対して、電通に749億円で再委託されていたことにより、野党や一部のメディアから疑問が上がり、問題視されています。しかし、梶山弘志経済産業大臣は「問題ない」と、契約の不備がないことを訴えています。
福島瑞穂議員、「20億円は中抜きではないか」と国会で追及
しかし、社民党の福島瑞穂党首は、委託費の769億円と再委託費の749億円を差し引いた20億円を「中抜きではないか」と、強く批判しています。
支給事務をめぐっては、経産省が「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に769億円で委託し、同協議会が電通に749億円で再委託した。福島氏が「20億円の中抜き」と批判したのに対し、首相は「そのうち10億円以上は銀行に手数料として払っており、(批判の)前提自体どうなのかという感じだ」と反論した。
福島瑞穂党首は、サービスデザイン推進協議会が中抜きして、電通に業務を丸投げしていると思っているようです。しかし、安倍総理は、サービスデザイン推進協議会が受け取る20億円のうち、10億円以上が銀行手数料だと答弁しています。
その説明は、経済産業省と財務省が出席の野党合同ヒアリングでも経産省からしっかり説明が行われています。
動画内でも、サービスデザイン推進協議会は、全体の工程管理と振込作業を行い、振込手数料が15.6億円かかるということです。
この金額については、日経新聞でも報道されていました。
経産省は給付金申請の審査や送金などの手続きの業務委託先として、一般競争入札を経て「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」(東京)と769億円で契約した。事業の大部分は電通に749億円で再委託されていた。梶山弘志経産相は同日の記者会見で「ウェブサイトの申請に限っており、どんな手順で支給するかでこういう形になった」と説明した。
経産省によると、委託に基づく同協議会の実施経費は18億1000万円。内訳は協議会の人件費が1億2000万円、みずほ銀行への振込手数料などが15億6000万円などだった。
これでわかるように、福島瑞穂党首が指摘している「20億円の中抜き」は存在しないことがわかります。
また、国がやればという意見もありますが、合同ヒアリングの中にあるように、1600人規模の審査体系と、サポート窓口を全国で500か所設けて、対応にあたっています。梶山大臣の説明では、その全体のスタッフ数は1万人程度とされています。そのおかげで、第一次補正予算で2.3兆円だった予算のうち、約半分が行き渡ったと報告されています。
福島瑞穂党首「ほとんど第三者に委託じゃないですか?トンネルじゃないですか?」
しかし再委託先の比重が大きいことを、福島瑞穂党首は問題視しています。
福島瑞穂党首は「トンネルじゃないですか」と猛批判をしていますが、例えば農林水産省の場合
2 乙は、この委託事業達成のため、委託事業の一部を第三者に委任し、又は請け負わせること(以下「再委託」という。)を必要とするときは、あらかじめ甲の承認を得なければならない。ただし、原則として委託費の限度額に占める再委託の金額の割合(「再委託比率」という。以下同じ。)が 50パーセント以内の業務とする。
となっています。農林水産省は、50%以内としていますが、経済産業省の場合は、以下の通りです。
第7条 乙は、再委託(委託業務の一部を第三者に委託することをいい、外注及び請負を
含む。以下同じ。)してはならない。ただし、当該再委託が次の各号のいずれかに該当
する場合は、この限りでない。
(1)本契約の締結時における別紙2の履行体制図に定めるものである場合。
(2)甲の承認を得たものである場合。
(3)別紙3の条件に該当する第三者に対するものである場合。
(4)別紙4の軽微な再委託に該当する場合。
福島瑞穂党首は、上記の(4)の軽微な場合を取り上げて、委託金と再委託の金額を比べて軽微ではないと訴えていますが、(1)にあるように、履行体系図を作成し、経済産業省に承認を得た場合は、この限りではないとされています。
つまり、再委託に関しても、事業計画書に履行体系図が掲載されていて、経済産業省がそれを承認したら問題はないということになります。
福島瑞穂党首は、政府を追及したい気持ちはわかりますが、むやみに「中抜き」とか「トンネル会社」とか風法被害にあたる発言をされては、業務妨害になると考えます。
また、この事業に真摯に向き合っている企業や働いている人々にも失礼だと思います。
こうした、思いつきや単なる勘ぐりを国民の代表ともある国会議員が野党とはいえ、することは許されないと思います。