【安倍総理会見】新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見
【安倍総理冒頭発言】
本日、関東の1都3県、関西の2府1県、そして北海道を除く39県について、緊急事態宣言を解除することといたしました。
その判断については、今回、専門家の皆様の御協力を得て、感染の状況、医療提供体制、監視体制の3つについて、具体的な数値なども含め、解除の客観的な基準を策定いたしました。
2週間前と1週間前を比べ、新規の感染が減少傾向にあること。直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下に抑えられていること。さらには、感染経路が分からない感染者の発生状況など、総合的に判断することといたしました。
そして、こうした基準に照らし、39県については、いずれも、今後、徹底的なクラスター対策を講ずることで、感染拡大を防止できるレベルにまで抑え込むことができたと判断いたしました。重症者も減少するなど、医療提供体制も改善しており、検査システムも新規感染者の動向を適切に判断する上で、十分に機能していると考えます。
こうした評価について、尾身会長を始め、諮問委員会の専門家の皆さんの賛同を得て、今月末までの期限を前倒しして、本日付で39県の緊急事態宣言を解除することといたしました。この後の政府対策本部において決定いたします。
残りの8都道府県では、感染者数の大きな減少に加え、人工呼吸器が必要となる重症者も、東京や大阪ではピーク時の6割ぐらいまで減少していますが、まだリスクが残っていると考えます。引き続き気を緩めることなく、外出自粛などに御協力をお願いいたします。地方への移動も控えていただきたいと思います。
1週間後の21日をめどに、もう一度、専門家の皆さんに、その時点で今回決定した解除基準に照らして評価いただき、可能であれば、31日を待つことなく、解除する考えです。
医療従事者の皆さんの献身的な御努力に対しまして、改めて敬意を表します。懸命な治療によって、退院などで感染症から快復した方は、累計で1万人を超えました。ひっ迫した医療現場の状況も、全体として改善傾向にあります。
一時、700人近くまで増加した全国の新規感染者は、このところ毎日、100人を下回る水準で推移しています。この1か月で7分の1以下に減少しました。全ては、徹底的な外出自粛などの要請に御協力してくださった国民の皆様一人一人の行動の結果であります。改めて、心より感謝申し上げます。
そして、多くの地域における緊急事態宣言の解除によって、ここから、コロナの時代の新たな日常を取り戻していく。今日は、その本格的なスタートの日であります。
レストランなどの飲食店、百貨店や商店街、各種の商店、映画館、劇場、博物館や美術館などの文化施設、公共交通機関、さらにはホテルや旅館、80を超える業界ごとに、専門家の助言の下、本日、感染予防のためのガイドラインが策定されました。これは、現場で働く皆さんを感染リスクから守るための指針であり、そして、消費者の皆さんに安心してそれぞれのサービスや施設を利用いただくための指針でもあります。解除された地域を中心に、事業者の皆様にはこのガイドラインを参考に、事業活動を本格化していただきたい。新たな日常を共につくり上げていきたいと考えます。
しかし、どんなガイドラインも感染リスクをゼロにすることはできません。緊急事態が解除された後も、私たちの身の周りにウイルスは確実に存在します。
北海道では、2月下旬に独自の緊急事態宣言を出し、感染者を大きく減少させることに成功しました。しかし、3月半ばの解除後、2、3週間たったころから感染者が再び拡大傾向となりました。ドイツでも、行動制限を緩めた直後、感染者が増加に転じ、再びロックダウンをせざるを得なくなった地域があります。当初、抑え込みに成功したと言われたシンガポールでも、感染者が大きく増えました。韓国でも、先週、ナイトクラブで集団感染が発生したというニュースを御覧になった方も多いと思います。
気を緩めた途端、一気に感染が広がっていく。全てをかつてに戻した途端、あっという間に感染が拡大する。これがこのウイルスの最も怖いところです。これまでの努力を無駄にしないために、解除された地域の皆さんに3つのお願いがあります。
第一は、少しずつ段階的にということです。解除された地域の皆さんに、もはや外出自粛はお願いいたしません。それでも、最初は人との面会は避ける、電話で済むものは済ませるなど、人との接触をできる限り減らす努力は続けていただきたいと思います。解除された地域の中でも、県をまたいだ移動については、少なくとも今月中は、可能な限り控えていただきたい。段階的に日常の暮らしを取り戻していただくようお願いいたします。
第二は、前向きな変化はできるだけこれからも続けてほしいということであります。オフィスの仕事については、多くの皆さんの御協力によって、この1か月でテレワークが普及しました。改善すべきは改善しながら、この前向きな変化を今後も継続していただきたい。時差通勤などの取組も、混雑を避ける上で有効であり、是非これからも続けていただきたいと考えています。
第三は、日常のあらゆる場面でウイルスへの警戒を怠らないでいただきたいということです。こまめな手洗いを心がけていただくことはもとより、常に人と人の距離を十分に取り、密集は避ける。外出するときは必ずマスクを着用し、他の人との密接はできるだけ避ける。屋内より屋外で、密閉は避ける。専門家の皆さんが取りまとめた新しい生活様式も参考に、3つの密を生活のあらゆる場面で避けていただきたいと考えています。特に3つの密が濃厚な形で重なる夜の繁華街の接待を伴う飲食店、バーやナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスへの出入りは、今後とも控えていただきますようにお願いいたします。いずれもこれまで集団感染が確認された場所であり、身を守るための行動を重ねてお願いいたします。
社会経済活動を本格的に回復させる一方で、同時に、このウイルスの感染拡大を抑え込んでいく。これほど難しい作業はありません。これまで以上にお一人お一人の御協力が必要となります。ウイルスとの暮らし、ウイルスが身の周りにいることを前提に、その感染リスクをできる限りコントロールしながら、いつもの仕事、日々の暮らしを取り戻す。新たな日常を、しっかりと時間をかけ、ある程度の試行錯誤も重ねながら、確立していく必要があります。
世界中、どこにもまだ、こうすれば大丈夫という正解はありません。長い道のりも覚悟する必要があります。だとすれば、その間も私たちの雇用と暮らしは何としても守り抜いていかなければなりません。新たな日常への道のりを国民の皆様と共に、一歩一歩前進していく。そのためには、もう一段の強力な対策が必要である。そう判断いたしました。
先般の事業規模117兆円の補正予算を強化するため、政府として直ちに2次補正予算の編成に着手いたします。この後の政府対策本部で指示いたします。休業を余儀なくされている皆さんの暮らしを守るため、雇用調整助成金を抜本的に拡充します。1日8,000円余りが上限となっていた助成額を、世界で最も手厚いレベルの1日1万5,000円まで特例的に引き上げます。さらに、雇用されている方が直接申請することができ、そして、直接お金を受け取れる、新たな制度を創設いたします。
世界的な感染の広がりには、全く終わりが見えません。世界経済がリーマンショックとは比較にならない、正に100年に1度の危機を迎えています。世界的な大企業すら大きなダメージを受けています。そうした中で、連鎖倒産という事態は絶対に防がなければなりません。大企業から中堅・中小企業に至るまで、資金繰り支援の更なる充実に加え、必要があれば機動的に十分な規模の資本性の資金を投入することも可能とし、事業の存続を強力に下支えします。
中小・小規模事業者の皆様には、使い道が全く自由な現金を最大200万円お届けする持続化給付金の受付を今月1日から開始しています。手続を徹底的に簡素化し、1週間後から入金をスタートしました。この1週間だけで8万件余りの中小企業・個人事業主の皆さんに、合計1,000億円を超える現金をお届けしています。月末の資金繰りを乗り越えていただくため、実質無利子、元本返済最大5年据置きの融資を実行していくことと併せ、一層加速していきます。
その上で、感染症の影響が長期化していることも踏まえ、家賃負担を軽減するための給付金も新たに創設いたします。さらには、感染防止措置など、次なる事業展開を応援する最大150万円の補助金など、あらゆる手を尽くして、地域経済の核である中小・小規模事業者の皆さんの事業継続を力強く後押ししていきます。
自治体による感染症対策を支援する交付金も大きく拡充します。自治体と緊密に連携しながら、次なる流行の波をできる限り起こさないように、そして、仮に起きたとしても、その波をできる限り小さくするように、万全の備えを固めていきます。
医師が必要と判断した場合には、直ちに検査を実施していく。昨日、薬事承認した抗原検査キットはその大きな武器となるものです。抗原検査は多くの皆さんが病院で受けたことがあるインフルエンザの検査と同じ仕組みです。最大6時間を要するPCR検査と異なり、わずか30分ほどで結果が分かるため、医療現場で簡便に陽性判定を行うことができます。ウイルスが多い場合にはPCR検査と同等の検出感度があります。感染力の高い人を早期に見つけることで感染拡大の防止に大きな効果が期待できます。
来月には1日当たり2万人から3万人分の検査キットを供給できる見込みであり、従来のPCR検査と組み合わせながら、量においても、スピードにおいても、検査体制を強化していきます。
PCR検査についても唾液を使った検査の実用化を加速します。鼻の奥から検体を採取するこれまでのやり方と比べ、検査に従事する皆さんの感染リスクを大きく軽減し、検査件数の増大にも寄与すると考えます。あらゆる手を尽くして、医師が必要と判断した皆さんにスムーズに検査を実施する体制を整えることで、市中感染の広がりをできる限り抑えていきたいと考えています。
重症者への治療薬として承認したレムデシビルは国内の重症者治療に必要な量を確保し、医療機関における投与が始まっています。アビガンについても有効性が確認されれば、今月中の承認を目指します。さらには、フサン、アクテムラ、イベルメクチン、いずれも日本が見いだした薬です。別の病気への治療薬として、副作用なども判明し、それを踏まえて処方すれば、安全性は確認されています。既に臨床研究や治験を進めていますが、この感染症への有効性が確認され次第、早期の薬事承認を目指す考えです。それぞれの薬の長所が異なることから、これらをうまく組み合わせることで、更なる治療効果も期待できます。感染爆発を起こすことのないよう、流行の波をできる限り小さくし、また、後ろに遅らせる中で、有効な治療法を一日も早く確立したいと考えています。
次なる流行のおそれは常にあります。新たな日常に向かって社会経済活動を本格化することは、当然そのリスクを高めます。皆さんお一人お一人が十分な警戒を怠れば、1週間後の未来は予断を許しません。感染者の増加スピードが高まってくれば、残念ながら、2度目の緊急事態宣言もあり得る。今回はその判断に当たっての考え方もお示ししています。しかし、国民の皆様の御協力があれば、そうした事態は回避できます。
2月下旬、学校の一斉休校、大規模イベントの自粛をお願いいたしました。国民の皆様には大変な御負担をおかけいたしましたが、結果として、私たちは中国からの第一波の流行を抑え込むことができた。国立感染症研究所のゲノム分析によれば、そう推測されています。国民の皆様の御協力に感謝申し上げます。
そして、この1か月余りの皆様の努力によって、私たちは欧米経由の第二波も抑え込みつつある。そして、我が国の人口当たりの感染者数や死亡者数は、G7、主要先進国の中でも圧倒的に少なく抑え込むことができている。これは数字上明らかな客観的事実です。
全ては国民の皆様の御協力の結果であります。大変な御苦労をおかけしております。長期にわたって生活の制約の多い暮らしが続く中で大きなストレスもたまっておられると思います。ただ、私たちのこれまでの取組は確実に成果を上げています。今、また感染拡大を予防しながら、同時に社会経済活動を本格的に回復させていく。新たな日常をつくり上げるという極めて困難なチャレンジに踏み出します。しかし、このチャレンジも国民の皆様の御協力があれば、必ず乗り越えることができる。私はそう確信しております。
私からは以上であります。(内閣広報官)
これから皆様から質問を頂きます。質問に対しましては、安倍総理と尾身会長に御対応いただきます。
総理、会長、恐縮ですけれども、所定の場所に御移動願います。
質問の内容によりましては、尾身会長から御説明を頂くこともありますので御了解願います。
質問を希望される方、その意思表示は発声ではなく、挙手でお願いいたします。私が指名をいたしますので、指名を受けられた方は近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにされた上で質問をお願いいたします。
では、初めに幹事社の方から質問を頂きます。はい、どうぞ。(記者)
産経新聞の小川(おがわ)です。よろしくお願いいたします。
緊急事態宣言について伺います。今日、愛媛県内で新たに17人の感染が確認されましたが、その愛媛県も含めて、宣言を解除する39県と残りの8都道府県で判断が分かれた最大の決め手は何だったのでしょうか。
また、8都道府県については、今日14日時点で解除に至らなかったわけですが、率直にこれをどう評価していますでしょうか。
また、ヨーロッパなどでは、社会経済活動の再開後に感染者が再び増えています。また、総理も今、おっしゃったように、感染のリスクをゼロにすることはできないというふうに思います。その中で、日本でも今後宣言を解除した地域などで感染が再び広がる可能性がありますが、31日までの全面解除に向けた政府の戦略をお聞かせください。
万が一なのですけれども、今後感染が広がって、期限の31日までに8都道府県全ての地域で宣言を解除できなかったり、あるいは39県で再び宣言を発令することになった場合の経済への影響、それから総理の政治責任についてはどういうふうにお考えでしょうか。よろしくお願いします。(安倍総理)
まず、今回解除とならなかった8都道府県の皆様におかれては、引き続き御苦労を強いることになりますが、確実に終息に向けてその8都道府県においても前進をしているのは間違いないのだろうと思います。今しばらくは気を緩めることなく、外出自粛などに御協力いただきたいと思っています。その上で、政府としては専門家の皆様にも評価していただきながら、可能であれば、期限の31日を待たずに解除する考えであります。
かねて申し上げておりますように、有効な治療やワクチンの開発まで、新型コロナウイルスとの闘いは続いていくわけであります。
また、これは国内で終息すればそれで終了ということではなくて、やはり海外から常に入ってくる可能性がありますから、世界的に終息をさせていく必要がありますが、ある程度の長期戦も覚悟する必要があるということは、そういう意味も含めて申し上げているところであります。
緊急事態宣言が解除された後にもウイルスは確実に存在するわけでありまして、国内外の例を見ることなく、緩めばまた一気に感染が拡大していく。そのことを十分にみんなで認識しなければならないと思います。
そして、再び緊急事態宣言、再認定する、再宣言するということについての基準についても今回お示ししているところであります。この中にあっても大切なのは、やはり3つの密を徹底的に避けながら新しい生活様式をつくっていくことだろうと思います。
先ほども申し上げましたが、社会経済活動を回復しながら、同時に感染を抑えるというのは大変難しい対応になりますが、これはもうみんなでこの対応をしながら、様々な基準についてお示ししておりますし、各業界団体においてもそれぞれガイドラインも作ることに御協力も頂いております。そうしたものをしっかりと生かしながら対応していきたいと思っています。
そして、私の責任とは何かということでありますが、私の責任とは、まずは何といっても国民の健康と命を守り抜いていくことであり、そして、暮らしと雇用を守り抜いていくことであります。しっかりとその責任を私は果たしていく決意と覚悟であります。そして、国民の皆様と共に新しい日常をつくり上げていきたいと思っています。その点においても責任を果たしていきたいと思います。同時に、今後の感染が再び拡大していくということに備えまして、その危険性に備えまして、医療提供体制や検査態勢の整備などを、国として責任を持ってしっかりと果たしていきたいと思います。(内閣広報官)
それでは、幹事社からもう1社、質問を頂きます。
はい、どうぞ。(記者)
北海道新聞の佐藤(さとう)といいます。
宣言解除を見送った8都道府県を始め、暮らしや経済の悪化は全国的に深刻です。総理は今、2次補正の指示をされるとおっしゃいまして、雇用調整助成金の具体的なお話もありました。その他、例えば学生の支援ですとか臨時交付金、事業者の家賃補助などの具体的な内容や規模などをお示しいただけたらと思います。
また、コロナ禍のさなかでの検察庁法の改正に、SNS上で著名人を巻き込んだ反発が広がり、与野党にもなぜ今なのか、コロナ対応を優先すべきだとの声があります。三権分立、恣意的人事の懸念がある中、政治の信頼を保つため成立を一旦見送る考えはないでしょうか。あわせて、黒川東京高検検事長は物理的に検事総長に就くことは可能ですが、是非をどのようにお考えでしょうか。(安倍総理)
まず初めに、規模については、正に今日この後の本部で編成作業について指示をいたします。そして、その中で当然、規模も出てくるわけでございまして、今この場で規模をお答えすることはできませんが、当然、政府としてもしっかりと、この状況に対する規模感を持って編成していきたいと思いますし、今、正に、与党においてもいろいろな御議論も頂いておりますし、野党の皆様のお考えも伺いたい。その際、先ほど申し上げました雇調金についても上限の課題がありました。それを世界で最も手厚いレベル、1日1万5,000円まで特例的に引き上げていきたいと思っておりますし、また、アルバイトによって学生生活を支えている学生さんたちは大変厳しい状況だと思います。そういう皆さんに対する対応や家賃支援、あるいは先ほど最初に触れましたが、中小・小規模事業者に対する一層の支援や、あるいは中堅企業や大企業に対する、これは下支え等も今や必要な状況になっている。そういうことも含めて、安心できる規模で編成をしていきたいと思っています。
また、これまで支援が遅い、届かないという厳しいお叱りも頂いております。我々はその状況を真摯に受け止めながら、何としてもそうした状況を、目詰まりを解消し、よりスピーディーにお届けするように、これからも全力で取り組んでいきたいと、こう思っています。
また、検察庁法の改正についてでありますが、今般、正に公務員全体の定年延長に関わることでもあるわけでございますが、言わば、政府としては御承知のように、今、コロナウイルス感染症の拡大防止に全力を挙げて、100パーセントの力を入れて取り組んでおります。
一方、国会においては、様々な法案、この法律だけではなくて年金等々もあります。様々な法案において、国会議員としての、立法府としての役割を果たしていただいていると、こう思っております。その中で、国会のスケジュールについては正に国会で皆さんが決めていただいているというふうに思うわけでございますが、検察庁法の改正法案は、高齢期の職員の豊富な知識や経験等を最大限に活用する観点から、一般職の国家公務員の定年を引き上げること等に合わせて、検察官についても同様の制度を導入するものであります。
そして、そもそも検察官は行政官であります。行政官でございますから、三権分立ということにおいては正に行政、言わば強い独立性を持っておりますが、行政官であることは間違いないのだろうと思います。
また、今度は、内閣が任命するというのは、おかしいではないかと言われておりますが、そもそも従来から内閣または法務大臣が行うこととされておりまして、認証官については内閣が行う、それ以外については法務大臣が行うことでございます。今までと全く変わりがないということでありまして、今回の改正により、三権分立が侵害されることは、もちろんありませんし、恣意的な人事が起こるようなことは全くないということは断言したいと、このように思います。
また、黒川さんの人事についてはまだ決めておりませんから、ここで、正に私がそれを申し上げるというのは恣意的になるのではないかと思いますので、今、この段階では申し上げることができないということであります。
また、国民の皆様の理解が深まるように努力を重ねていかなければならないと、こう思っています。(内閣広報官)
それでは、これから幹事社以外の皆様からの質問を頂きます。改めてではございますけれども、質問の御希望の意思表示は発声ではなくて挙手でお願いいたします。私が指名いたしますので、近くのマイクの前にお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにされた上で御質問をお願いしたいと思います。質問を御希望される方、毎回、大変多数いらっしゃいますので、お一方1問でお願いいたします。
それでは、御希望される方、挙手をお願いいたします。
では、重田(しげた)さん。(記者)
日本経済新聞の重田です。
緊急事態宣言の解除についてお伺いいたします。本日、東京では30人の新規感染者が出ました。今回、東京に加えて、千葉、埼玉、神奈川、3県が維持となったわけですが、東京の感染が収まらなくなった場合、3県について先行して解除するという選択肢はあるのでしょうか。もしくはセットで考えるのでしょうか。教えてください。(安倍総理)
この解除については、今回も専門家の皆様の御意見を頂きながら、諮問委員会で決めていただきましたので、詳しくは尾身会長からお答えをさせていただきたいと思いますが、今回の基準の中にも、近隣都道府県の状況ということが書かれています。その中で、例えば千葉県は相当、新規感染者数を抑えることができておりますが、東京と密接な関係にあるということもあります。ただ、東京都においても、一時に比べれば相当、新規感染者数は減少してきているわけでございますし、もう1点、医療提供体制との関係におきましても、退院する方の数が相当増えてきております。全国で見ましても、最初に申し上げましたように、100名以下の方が、今、新規感染者として報告されていますが、退院される方は、最近は300名、400名、700名と大変多くの方が日々退院されておられますから、言わば入院されている方の数も相当減ってきている。当然、その中で大きな数を占めているのが東京都でもあるのだろうと。その中でクラスターとしてどれぐらい追えているかということもあり、判断しなければならないと思いますが、尾身先生からお答えいただければと思います。(尾身会長)
1つの県が先行して解除することがあり得るかというお話ですけれども、実は、今回、我々、政府に対して解除の基準という考え方について提案させていただきましたけれども、その中には、もちろん医療の問題、それから感染状況の問題、それから検査体制の問題、それから、もう1つ考えていただきたいと言ったのは、生活圏、1つの県を独立としているのではなくて、生活圏、人の動きが極めて多いようなところは、一つの単位として、一体の単位として検討していただきたいということも申し上げたということであります。(内閣広報官)
それでは、次の質問を頂きますので、御希望の方、挙手をお願いしたいと思います。
それでは、星野(ほしの)さん。(記者)
朝日新聞の星野と申します。よろしくお願いします。
検察庁法改正案についてお伺いいたします。先ほど総理は御回答の中で、国会のスケジュールは国会がお決めになるということでしたけれども、国会法の第59条と衆議院の先例集には、内閣が議案の修正や撤回を請求する際の手続が定められています。今、新型コロナの渦中にあって、この改正案に国民のコンセンサスが得られていない状況ですが、この改正案を束ね法案から切り離すよう要請する考えはございますでしょうか。(安倍総理)
国会のことについては、正に国会においてスケジュールを決めるわけでありまして、正に理事会でスケジュールは決めていきます。
そして、党においては、私も幹事長のときはそうだったのですが、当然、国会のスケジュールにおいては、党で責任を持って進めていきます。もちろん政府と相談する場合もありますが、そういう意味で、先ほどお答えをさせていただいたところでございます。
この考え方については、先ほどもう既に答弁させていただいたとおりでありまして、これからも国民の皆様に御理解を頂けるように努力を重ねていきたいと、こう思っています。(内閣広報官)
それでは、次の質問を頂きます。
では、後列、後ろから2人目、マスクと眼鏡の、どうぞ。(記者)
ラジオ日本の伊藤(いとう)と申します。よろしくお願いします。
今、治療薬及びワクチンの開発に対する政府の支援、対応はどういう状況になっていますか。お願いいたします。(安倍総理)
我々、この新型コロナウイルス感染症、感染者が日本においても発生した段階から、治療薬、そしてワクチンの重視をしてまいりました。これはG7においても様々な国際場裏の場においても、世界の英知を結集すべきだということを申し上げてきたところであります。
その中で、日米を中心に共同治験が進められてきたレムデシビルは、先日、特例承認という形で薬事承認を行いましたが、重症者の治療に当たる全国の医療機関において、既に投与が始まっておりますし、重症者の方々に対応する数において、それに対応する数を私たちは確保しております。
また、アビガンにつきましても観察研究では既に3,000例近い投与が行われておりまして、臨床試験も着実に進んでいます。先ほど申し上げましたように、有効性が確認されれば、今月中の承認を目指していきたいと思いますし、また、ノーベル賞を取られた大村先生が開発をされたイベルメクチンは、長年、皮膚病の治療に使われてきましたが、新型コロナの有効性が示唆されておりまして、国内においては、近く、医師主導治験が実施される見込みでありまして、こうした治療薬について有効性が確認されれば、早期に薬事承認をしていきたいと思いますし、一日も早く国民の皆様にお届けできるようにしていきたいと、このように思います。
また、最初に申し上げたのですが、それぞれのお薬の特徴がございますので、それを組み合わせることによって大きな効果を生むということが、今、期待されておりますので、そういう意味では、急ぎたいと思っています。
また、ワクチンについても、世界的な制圧についてはワクチンが果たす役割は大変大きなものがあるわけでありまして、米国などでは既に治験が開始されています。つまり、人への投与が始まっているということであります。国内では、東大、阪大、感染研などにおいて開発が進められておりまして、早ければ7月には治験が開始される見込みであります。さらに、CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)やGavi(Gaviワクチンアライアンス)を通じて、国際社会と協力しながら、ワクチンの開発を進めていきたいと思っています。(内閣広報官)
それでは、次の方。篠原(しのはら)さん。(記者)
テレビ東京の篠原と申します。
総理、先ほどの発言の中で、感染者数の人口当たりについて死亡者数もG7の中でかなり抑え込めたというふうにおっしゃっていました。一般の人々の間でも、その要因は、BCGを日本人は受けているからじゃないかとか、あとは文化的な違いがあるんじゃないかといった俗説がありますが、これについて総理や尾身先生はどのような差がこういった結果につながったというふうにお考えでしょうか。(安倍総理)
私もBCGとの関連等について、もちろんいろいろな説があるということは承知をしております。日本において10万人当たりの死亡者の数というのは0.5近辺でありまして、世界でも圧倒的に小さく抑え込まれています。それについて様々な議論があるというふうに承知しておりますが、これは正に専門家の尾身先生から御紹介を頂きたいというふうに思いますが、いずれにいたしましても、現在の感染者数、もちろんこれだけの数の方が亡くなられたことは本当に痛ましいことでありますし、心から御冥福をお祈りしたいと思いますが、我々も欧米と比べて相当小さく抑え込まれているこの水準の中において何とか終息させていきたいと思っています。(尾身会長)
簡単に。まずはBCGのことは、BCGが有効だというエビデンスは今のところございません。それから日米欧との差ですが、これは基本的には、私は3つあると思います。1つ目は、やはり日本の医療制度が比較的しっかりして、全員とは言いませんけれども、多くの重症者が今のシステムで探知できて、適切なケアが行われて、医療崩壊が防げているということが1点目だと思います。それから2点目は、特に初期ですね、感染が始まった初期に、いわゆるクラスター対策というのがかなり有効だったと思います。それから3点目は、これが最も重要かもしれませんけれども、国民のいわゆる健康意識が比較的高いという、この3つが大きな原因だと今のところ私は考えております。(内閣広報官)
それでは、次の質問に参ります。
では、松本(まつもと)さん。(記者)
NHKの松本です。よろしくお願いします。
特措法についてお伺いします。強制力を伴わない内容でも、今、終息に向かいつつある状況と言えるかと思います。一方、この間、知事を始め、問題点や改善点についての指摘も相次ぎました。
こうした中、秋や冬には再び流行期に入るのではないかという懸念もあります。先ほど総理も次なる流行のおそれは常にあるとおっしゃいました。
今後の備えとして、今の特措法の内容で必要十分なものだとお考えでしょうか。また、今後、政府対応を含めて検証も必要かと思いますけれども、落ち着いてからだとは思いますが、いつ、どのように進められるお考えでしょうか。お伺いしたいと思います。(安倍総理)
今、御質問にもあったように、日本の特措法は、強制力、欧米に比べて、非常にこれは弱いわけでございます。しかし、その中にあっても、国民の皆様の大変な御協力を頂きました。いわゆる夜の街のクラスターを防ぐために、様々な自粛もお願いしているのですが、相当程度、自粛もしていただき、また、人通りも相当減らすことができました。これも皆様の御協力の賜物であるわけでございますが、その中で、どう特措法について考えるかということでもありますが、これは正に今の対応が終息した段階で、より強制力のあるものが必要だったか、あるいは、これから必要かということについては、検証しながら考えたいと思いますが、もちろんそれが必要だというときになれば、躊躇(ちゅうちょ)なく法改正も視野に入れたいと思います。
そして、また、我々の戦略としては、なるべく感染のピークの山を小さくしていく。それは医療提供体制の範囲内で対応できる山にしていくということであります。そして、できるだけそれを後ろに倒していくことによって、治療法、お薬やワクチンの開発を進めていくということでありまして、その中におきましては、もちろん、大変、医療現場の皆さんに御努力いただいて、ひっ迫した状況もございましたが、人工呼吸器、ECMO、ICU等々についても、何とかこの範囲内において、我々は、今、対応することができていると、こう思っております。
ただ、次なる山が来ることも十分考えられますが、それに対してできるだけ小さくしていくということもそうなのですが、同時に、検査体制も医療体制も更に拡充もしていきたいと思っています。同時に、正に後ろに倒していくという中において、この治療法も、今、早急に進めているわけでありまして、正にこの治療薬とワクチンの開発を急ぎたい、また、薬事承認を急ぎたいと思っています。(内閣広報官)
それでは、次の質問を頂きます。
それでは、一番後列、奥から3人目の白いノートを掲げておられる方、お願いします。(記者)
インドネシアの新聞記者なのですけれども、スシロ・リチャードと申します。
緊急事態宣言の解除なのですけれども、その後にいろいろな対策もあるかと思いましたので、1つのことを。国際郵便ですね。4月1日から今までに、日本の国際郵便がいろいろな国に、146か国、含めてインドネシアも、サービス止まります。手紙もお送りできませんので、外国人として、郵便局は大変世話になりましたので、大変大事だと思います。今、止まっている国際郵便は御検討いただけないでしょうか。よろしくお願いします。(安倍総理)
国際郵便なのですが、郵便を航空便でお届けする上においては、カーゴを使うのと、あと、旅客便ですか、それに載せてお届けをしているのでありますが、インドネシアにおいては旅客便が中心でございまして、今、ほとんどの旅客便がない中において、残念ながらお届けできていない、大変申し訳ないと思います。
総務省から日本郵便に対しまして状況について報告を求めているところでございますが、現在、そういう状況でございますので、しばらくは難しいかもしれませんが、国際郵便のサービスができるだけ早くに供給できるように、我々も努力していきたいと思っています。
また、先般、ジョコ・インドネシア大統領とお話もさせていただきました。力を合わせてこの状況を乗り越えていきたいと思いますし、アジア全体においてこの感染症の対策を、正に協力をしていこうということで、感染症対策のセンター等の設立についても日本から提案もさせていただきました。また、医療防護具について提供もお願いをさせていただいたところでありますが、我々はインドネシアとも力を合わせて乗り越えていきたいと、こう思っております。(内閣広報官)
それでは、次の質問を頂きます。
はい、では吉浦(よしうら)さん。(記者)
共同通信の吉浦です。よろしくお願いします。
新しい生活様式について、お伺いします。緊急事態宣言が解除される県を含めて、引き続き新型コロナウイルスの感染を防ぐ取組は欠かせませんが、一方で、この会見場のように、人と人との距離をできるだけ2メートル空けるですとか、会話の際はマスクを着用するといったこの新しい生活様式に終わりは来るのだろうかという疑問も湧いてきます。
政府として、このような状況を実現すれば古い行動様式に戻ってもよいというふうな目安や展望はありますでしょうか。先ほどワクチンですとか、治療薬についても言及がありましたけれども、何か目標を持てるようなものがあれば、お聞きしたいと思います。(安倍総理)
まず、この新型コロナウイルスとの関係においては、ワクチンや治療薬はかなり重要でありまして、これがかなり決定的に効力があるということになれば、我々はこのコロナウイルスに対して克服した、世界が克服したと言える状況をつくり上げることができると思います。ただ、それまでは感染者が減っていったとしても、先ほど例として中国や韓国や、また、あるいは欧州もそうなのですが、ぎゅっと減っていってもまた再燃するということがございますから、その中でやはり新しい生活様式をつくり上げていく必要があるのだろうと、こう思います。
ただ、同時に、今、我々も抑え込みつつありますから、今回、39県において解除することができましたし、しかし、5月いっぱいの間は段階的に少しずつということでお願いをさせていただいておりますが、その中で、やはり試行錯誤しながら解答を求めていくしかないのだろうと、こう思っています。全く元の日常に戻りたいという気持ちはみんな強いのだろうと思いますが、それまでは、先ほど申し上げましたワクチンや、あるいは治療薬が出現するまでの間は、ある程度の長期戦も覚悟しながら、少しずつ進んでいくということなのだろうと思います。
ただ、言えることは、間違いなく日本は終息への道は進んでいる。その結果、医療提供体制にも、改善し、少し余裕もできてきたということではないかと思いますが、我々も、しかし更に不断の努力をしていきたいと思っています。(内閣広報官)
それでは、次の御質問を頂きます。
はい、じゃあ、今井(いまい)さん。(記者)
読売新聞の今井です。
9月入学についてお伺いします。緊急事態宣言が一部地域で継続となり、学習に地域間で差が生じざるを得ない情勢かと思います。9月入学が望ましいとの意見がある一方で、5月末までに宣言が解除されれば授業時間の確保は可能との見方もあるようです。総理は現時点で9月入学の是非をどうお考えでしょうか。また、いつ頃が判断時期のリミットとお考えでしょうか。よろしくお願いします。(安倍総理)
この9月入学については、そもそも例えば教育再生実行会議において、今後の課題の1つとして9月入学、これは国際社会において、多くの国において9月入学ということも鑑み、たくさんの学生たちが日本にもやってきますし、日本の学生も海外に留学をする。海外から帰ってきて会社に入る人もいるということにおいて、それも視野に入れるべきだという議論もありました。また、もちろん我が党内においても反対の議論もあるわけでございますが、まずはとにかく子供の皆さんの学びの場をしっかりと確保していく。そして、大きな差が出ないように最大限の努力もしなければいけないと思いますが、指定解除による学校再開の状況や、また、子供たちや保護者はもとより社会全体への影響を見極めつつ、様々な選択肢について、この9月入学も有力な選択肢の1つだろうと思いますが、前広に検討していきたいと思っています。
もちろん、大変大切なことですから、拙速な議論は避けなければいけませんし、今の状況等もどのように考えていくかということも大切なことなのですが、しっかりと深く議論をしていきたいと思っています。今、与党でも議論していると思います。(内閣広報官)
それでは、次の質問がある方、よろしいですか。
それでは、吉野(よしの)さん。(記者)
テレビ朝日の吉野と申します。
東京の出口戦略についてお伺いしたいのですけれども、今、総理は3つの考え方をお示しになりましたけれども、我々も何となく東京が最後なのかなというふうに思ってはいるのですけれども、例えば東京では医療体制が依然ひっ迫していると伺っております。例えば今の3つに加えまして、病院のベッドの数ですとか、再生産数といった基準を更に示すお考えはありますでしょうか。我々としてはゴールがより見えた方が頑張れるというところもありますけれども、お考えをお伺いしたいと思います。(安倍総理)
今回、解除する中においても、1つは医療提供体制ということを申し上げました。また、監視体制、これは例えばPCR検査がしっかりとできているかということでありますが、東京都においてはまだまだ課題があるのは事実であります。PCRセンターは今度、全国、そして東京に新たに設けるわけでございまして、強化をしていく。先ほど申し上げましたように抗原検査、唾液で検査することも可能になる体制をつくり、強化をしていくということにもなります。
また、東京都において、病床数と退院者の数についてしっかりと確認することが大切だと思いますので、東京都にも我々もいろいろなお願いもさせていただいております。それも大変重要な要素だろうと思いますし、実効再生産数も東京ももちろん1をもう既に大きく切っていると。今、0.5ぐらいですか。(尾身会長)
1は十分切っております。(安倍総理)
1は切って、0.50ぐらいなのだろうと思いますが、東京都には大都市としての様々な特別な要素もあるのだろうと思います。そうしたことも勘案しながら、1週間後、更にまた2週間後にも専門家の皆様にも検討していただきますが、その段階でもちろん今の基準に達していれば解除もしていきたいと思っていますが、そういう、今、言われた目標についてどう考えるかということについては、尾身先生からお話をしていただきたいと思います。(尾身会長)
これは東京都に限らず、私どもが政府に提案させていただいた基準は、特に感染状況については、基本的に一番大事なのは直近の1週間の前後の報告数の比較と、それから直近1週間の人口10万単位、それを0.5未満ということが基本に、ただ、それだけを金科玉条にやるのではなくて、例えばその他の実効再生産数だとか、リンクのあることも当然、参考にはします。
それから、医療の方では2つ、今、我々は政府に提案をしました。1つは、重症者の受け入れの余裕がどうなっているのかということと、あとは、重症者だけではなくて、一般の患者さんのどれだけの余裕があるかということもある程度、考慮するということで、そういうことで、最終的には東京都も同じような基準で判断すべきだと思っております。(安倍総理)
例えばECMOとか、人工呼吸器等々についても、東京都でどうなっているかということを我々もしっかりと見ながらやっているところでありますが、今、尾身先生が言われた形で、1週間後に再び考えていきたいと思っています。(内閣広報官)
それでは、次の日程が迫っておりますので、最後の質問にさせていただきます。
どうぞ、後列の女性の方。(記者)
フリーランスの安積(あづみ)といいます。
先ほど、第2次補正のことについてお話しされましたけれども、お金では解決できないような問題もあります。
例えば、このコロナの問題の後、社会が大きく変わって黒字倒産または早期廃業、そういった企業が増えているというふうに聞いております。そういった中小企業に、中国とかそういった外資が買いに入る可能性が極めて高いということが話に出ています。
外為法では、上場企業については保護がありますが、中小企業についてはお金を入れるだけで、そういった法的なガードがないわけなのですけれども、やはりこういった企業が、これまでの日本経済を支えてきたわけであって、これは日本の宝というような、そういった存在だと思うのですけれども、こういった企業を守るという意味の施策というのはお考えでしょうか。施策とかそういった日本の将来、そういったものを、ポストコロナ社会を構築するという意味でお考えかどうか、お聞かせいただきたいと思います。(安倍総理)
まず1つは、もちろん上場企業については外為法において、しっかりと我々は国益を考えながら、また戦略的に対応していきたいし、しっかりと我々も注視をしながら日本の国益を守っていきたいと、こう思っております。
また、中小企業の中においても様々な技術を持った企業もあるでしょうし、また、サプライチェーンを支えている企業もたくさんあります。もちろん中小企業・小規模事業者の皆さんが日本の経済を支えているという観点を持ちながら、事業の継続、言わばその中において海外から買いたたかれることのないように対応していきたいと、こう思っているところであります。
もちろん、これは基本的に日本もWTO(世界貿易機関)の一員でありますから、正当な理由がなければ防護することはできないのでございますが、ただ、その中におきましても、やはり今回、サプライチェーンの問題もありましたし、生活必需品、特に医療分野においてもそうなのですが、そういうものもやはり日本の企業に、しっかりと日本で作っていただきたいと思っておりますし、また、投資先も多元化してもらいたいと、そういう支援も行っていきたいと思っています。
大切なことは、中小企業・小規模事業者の皆さんの事業継続を維持するために、これからも更に力を入れていきたいと思っています。(内閣広報官)
では、以上をもちまして、本日の総理記者会見を結ばせていただきます。皆様の御協力に感謝申し上げます。
どうもありがとうございました。